2020年5月号掲載
Unlocking Creativity チームの創造力を解き放つ最強の戦略
Original Title :UNLOCKING CREATIVITY:How to Solve Any Problem and Make the Best Decisions by Shifting Creative Mindsets
- 著者
- 出版社
- 発行日2020年3月26日
- 定価2,200円
- ページ数269ページ
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著者紹介
概要
組織が創造的なアイデアを生むには、何をすべきか? まず必要なのは、創造力を阻害する6つの「思い込み」を取り除くこと。社内に蔓延するこの思い込みを排除し、皆が思ったことを言える環境をつくれば、大胆な発想は生まれる。そのための方策を、経営学教授が具体例を基に示す。イノベーションを求めるリーダー必読の1冊。
要約
「過程」に関する思い込み
昨今、多くの経営者は、これまで以上に創造的なアイデアが求められていると繰り返し口にする。
そこで私は、世界中の企業の創造力について調査した。すると残念なことに、創造力を阻害する考え方 ―― 「組織に蔓延している思い込み」が見つかった。その思い込みは、以下の6つである。これらを変えない限り、創造力は発揮できない。
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第1は、「過程」に関する思い込みである。
クリエイティブな発想が生まれるには反復の過程が必要で、直線的な過程をたどっても生まれない。この特性を理解していない組織は多い。
例えば、『モナ・リザ』『最後の晩餐』などの名画を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は完璧主義だった。そのため、どの作品にも必ず欠点を見つけては、いつまでも修正を繰り返した。締切を破ることもしょっちゅうだった。
彼は何を制作する時も、実際にやってみて学習するアプローチで取り組んだ。計画を立てて実行に移すという直線的なやり方ではなく、準備、省察、修正という工程を繰り返し行った。
直線的な考え方とは
彼のやり方とは対照的に、経営者が問題解決にあたる時は直線的に考えることが多い。まず入念に分析し、計画を立て、予算を決めて実行する。
この直線的なアプローチは、未来が過去とよく似たものになると見込まれる場合には効果的だ。だが、従来にない状況や問題の場合は、直線的ではなく、好奇心旺盛な子供のような行動が求められる。すぐに行動を起こして検証と学習を行い、行動を修正する。やってみて学ぶということだ。
経営者が社内の創造力を阻害している
経営者の多くは、こうした直線的でないアプローチを嫌がる。問題を特定し、解決のための選択肢を分析して策を選定し、実行に移す。この種の直線的なアプローチに、経営者は安心感を覚える。計画通りに物事が進み、未来に起こることの流れを把握できると感じるのだ。
だから、経営者が雇いたがるのはたいてい、限定的な範囲で深い知識を持つ専門家であって、好奇心旺盛なダ・ヴィンチのような人材ではない。