2020年12月号掲載

イノベーションはいかに起こすか AI・IoT時代の社会革新

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著者紹介

概要

イノベーションを起こすカギ。それは、「オープン」性だと著者はいう。だが、日本企業はクローズ志向。自社のノウハウの流出を恐れ、企業の枠を越えた製品やアプリの開発に及び腰だ。さらに、チャレンジの足を引っ張る、法制度の問題もある。そんな日本が、どうすればイノベーションを起こせる国に変わるのか、提言する。

要約

なぜ日本からイノベーションが生まれないのか?

 「イノベーション」は、日本では「技術革新」と訳されることが多い。だが、元々は経済学者ヨーゼフ・シュンペーターが言い出したとされる言葉で、「経済活動において利益を生むための差を新たにつくる行為」という意味である。

 利益を生みさえするなら、その“差”は新しい技術で性能が上がったことによるものでも、原料の調達先を変えて価格を下げたことによるものでも、何でもいい。

 新しい情報技術で経済活動や生活、社会が変わろうとしている今、「イノベーションは技術だけではない」という原点に戻って考える必要がある。そのためには、新しいICT(情報通信技術)の技術的な側面を理解する必要があるのはもちろん、新しい制度をその運用も含めて考えねばならない。

 インターネットは当初、人と人の間の情報交換に使われていた。その後、コンピューターの進化と通信速度の高速化に支えられ、モノをネットにつなぐという発想のIoT(Internet of Things/モノのインターネット)が誕生し、さらにAI(人工知能)などが進化した。

 このネット時代、こうやればイノベーションに成功する、という正しいやり方などはない。しかし、イノベーションを起こすための「オキテ」、すなわち守るべきルールはある ―― 。

IoTとイノベーション

 前述のように、IoTとは、モノがインターネットにつながることで、モノに関する各種のサービスがネットを通して使えるということだ。

 単に機器と機器が接続し、遠隔で操作するだけのサービスなら、20年ほど前からあった。

 このような単なるネット対応と、世界で今話題になっているIoTの違いは、前者が「単に機器がネットにつながる」ことなのに対して、後者は「インターネットのように機器がつながる」ということだ。この違いは重要だ。

 それに対し、日本でIoTといわれるものは、残念ながらクローズ志向だ。例えば、スマートフォンでテレビの録画予約ができるといっても、テレビを作ったメーカーの純正アプリからしか操作できなかったりする。これでは、IoTといえない。

 企業の枠を越え、機器同士がつながる。こうしたオープンなインフラに支えられるのが、本来のIoTの世界なのだ。

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