2021年5月号掲載

日本化におびえる世界 ポストコロナの経済の罠

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著者紹介

概要

経済、財政が悪化。金融政策で打つ手は限られる…。1990年代以降、日本は長期停滞に苦しんでいる。そして今、新型コロナの感染拡大で、海外も同じような局面を迎えた。本書は、コロナ対策の景気刺激策による財政悪化など、世界が直面する「日本化」の正体を明らかにするとともに、いまだ脱却できない日本の実態を解説する。

要約

欧米が懸念する「日本化」

 「日本化」 ―― 。新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ世界で今、この言葉が広がりつつある。

「日本化」のリスク

 2020年1月5日、米国で最も権威ある経済学の学術組織とされる「米国経済学会」は、年次総会でパネル・ディスカッションを開いた。

 参加したのは、欧州中央銀行(ECB)前総裁のマリオ・ドラギ、米連邦準備理事会(FRB)前議長のジャネット・イエレン、元米財務長官のローレンス・サマーズなど。

 パネルの重要なテーマの1つは「日本化」で、次のようなことが問われた。

 「日本は30年近くも、需要と成長を、巨額の財政赤字を伴いながら、ゼロ金利と量的緩和の組み合わせだけで維持している。グロスの債務はGDP(国内総生産)の200%を超え、1990年の4倍に達している。10年金利はマイナスである。これは他の先進国にとっての前兆なのか」

 ドラギは、「ユーロ圏にとって日本化のリスクはかなりあると思うが、それは避けられない結果ではない。デフレスパイラルを避けるための迅速で力強い行動が必要」と、強く行動を促した。

 前のECB総裁が指摘したとあって、日本化が2020年の欧米経済界の大きなテーマになった。

 この日本化のリスクは、この年、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、より強く意識されることになった。

「日本化」の正体

 その時期、米国でITバブル崩壊が鮮明になり、世界経済に調整圧力が強まる中、日本は2000年後半から景気後退局面に突入していた。

 財政は相次ぐ景気対策で悪化していた。国と地方の債務残高の合計のGDPに対する比率は、02年には163%まで拡大。同時期、米国は55%、ドイツが59%で、日本の財政悪化が突出していた。

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