2022年8月号掲載

統計で騙されない10の方法

Original Title :HOW TO MAKE THE WORLD ADD UP (2020年刊)

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著者紹介

概要

統計を使ったごまかしは多い。“嘘、大嘘、そして統計”。英語には、こんな言葉があるほどだ。しかし、統計は複雑な現代世界を理解するための貴重なツールである。大切なのは、嘘の情報を見破ること。騙されることなく、統計データを賢く使うための10のポイントを、フィナンシャル・タイムズ紙の人気コラムニストが説く。

要約

とっさの感情には注意する

 よい統計は、人が物事をはっきりと見るための手助けになる。世の中について、そして自分自身について、他の方法では気づけなかった物事を見ることができる。

 そのためには、統計が示す真実の背後にある論理を理解し、虚偽の情報を生み出すいい加減な理屈や、感情や、バイアスの罠に気づくようになる必要がある。例えば ――

*  *  *

 統計を伴う何らかの主張を見聞きした時には、それに対して自分の感情がどう反応しているか意識する。自分が受けた印象だけを理由に、すぐさま飛びついたり、はねのけたりしてはいけない。

 統計について理解を深めるためには、自分自身についても理解を深める必要がある。統計を伴う主張を見た時、それに対して起きる感情的反応の制御についても学ばなくてはならない。

 心理学者ジバ・クンダは、こんな実験を行った。

 被験者に、カフェインが女性の乳腺嚢胞のリスクを高めるというエビデンスを示した記事を見せた。すると大半の被験者は、記事に説得力があると受け止めた。ところが、普段からコーヒーをよく飲む女性被験者は納得しなかった ―― 。

 そこで重要になるのが、自分の感情に気づくことだ。たいていは、それで判断力は向上する。

 そのために必要なのは、自分に問いかけるという習慣だ。「この情報を聞いて、今自分はどんな気持ちになっているのか」と自問する。「やっぱり」と感じているか、「そんなわけあるか」と感じているのか。不安、怒りを感じていないか、と。