2023年1月号掲載
MEGATHREATS(メガスレット) 世界経済を破滅させる10の巨大な脅威
Original Title :MEGATHREATS:Ten dangerous trends that imperil our future, and how to survive them (2022年刊)
- 著者
- 出版社
- 発行日2022年11月18日
- 定価2,640円
- ページ数417ページ
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著者紹介
概要
人類は今、様々な「巨大な脅威(メガスレット)」に直面している。過剰債務、スタグフレーション、脱グローバル化…。これらの脅威はかつてない規模で進み、広範囲に大損害をもたらす可能性が高い。破滅は目の前だ! かつて2007年の世界金融危機を予知し、対応した米国の経済学者が、“世界大混乱”を警告、備えを促す。
要約
積み上がる債務
そう遠くない将来に、最悪の債務危機が迫っている ―― 。
2021年、米国は1.9兆ドルの新型コロナ対策法案を可決した。トランプ政権下の大型救済策と合わせると、2019年以降に4.5兆ドルが公的債務に加わった。欧州も同様で、2021年2月のニューヨーク・タイムズ紙によれば、「欧州の債務は急増し、第二次世界大戦以来の水準に達した」。
世界の債務総額(政府部門+民間部門)は、2021年末時点で、世界GDP合計の350%を大幅に上回った(1999年時点では220%)。先進国・新興国を問わず、債務が対GDP比でこれほどの水準に達したことは、これまでなかった。
未経験の金融バブル
人類は、過去、数世紀にわたって何度も金融バブルを乗り切ってきた。だが、今回もこの手の危機で、火傷程度で済むなどと考えるべきではない。
なぜなら、世界はもはや未知の領域に足を踏み入れてしまったからだ。政府も企業、銀行、家計も、どうみても返済できないほどの債務を抱えている。金利がゼロかマイナスだった時に何とか管理できた債務も、金利が上がれば持続不能になる。
現に、インフレ退治のために中央銀行が政策金利を大幅に引き上げつつある。今や私たちは変曲点にさしかかっている。この点を過ぎたら、官民を問わず、借り手と貸し手の生活は一変する。
人間は生まれついての楽天家
現在とよく似た状況はすでに一度経験している。2006年春のことだ。米国の不動産市場では、住宅が作るそばから売れた。住宅ローンの借り手には事欠かない。返済能力を担保するだけの資産や所得があるかなど、誰も気にしなかった。
これはバブルだと私には見えた。だから、そう指摘した。IMF(国際通貨基金)主催のイベントで経済学者向けに基調講演も行った。2007年には世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも懸念を表明したが、拒絶された。
ダボスでの反応は、一流の専門家でさえ、手遅れになるまで災厄の予兆に気づかないことを示している。人間は生まれついての楽天家なのだ。
結局、米国では2007年末から金融危機が発生した。サブプライム住宅ローン危機とも呼ばれる通り、消費者の債務過剰が原因だった。
過去最大級の債務危機
バブルというものは崩壊して破綻の連鎖を引き起こすのが常だが、次に起きる債務危機はこれまでとは桁外れの規模になるだろう。