2023年12月号掲載
恋愛結婚の終焉
- 著者
- 出版社
- 発行日2023年9月30日
- 定価1,034円
- ページ数304ページ
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著者紹介
概要
結婚に恋愛は必要ない! 近年、「恋愛と結婚は別」と考える若者が増えている。結婚相手に求める条件も、男性の約半数が妻に「経済力」を、女性の9割超が夫に「家事・育児能力」を求めるなど、従来とは様変わりしている。こうした若者の実態から、未婚化・少子化が進む原因、その解決策まで、各種調査をもとに平易に説く。
要約
結婚と恋愛を切り離す
2014年、内閣府が若者の「恋愛離れ」に関する調査結果を公表した。当時20~30代未婚で恋人がいない男女の約4割が「恋人が欲しくない」と答え、その理由の第1位に「恋愛が面倒」が挙がった、との内容である。この結果は多くの人々に衝撃を与えた。社会的に「未婚化」や「少子化」への懸念が高まったのもこの頃だった。
しかし、私の脳裏には別の思いがあった ―― 必ずしも「恋愛離れ=結婚離れ」とは言い切れない。「結婚と恋愛は別だ」と割り切れば、むしろ未婚化の状況を好転させられるのではないか。
なぜなら「恋愛が面倒」とする半面、「いつかは結婚したい」と希望する若者が今も大半を占めるからだ。21年に実施された調査でも、18~34歳の男女の8割以上が「いずれ結婚するつもり」だと答えていた。だとすれば、最初から恋愛と結婚を切り離し、「結婚に恋愛は要らない」と割り切れば、若い世代のニーズにも応えられるだろう。
「結婚と恋愛を切り離す」3つの理由
私が「結婚と恋愛の切り離し」を提案する理由は3つある。
1つ目は、「結婚したい」「でも恋愛が面倒」は、本人の考え方次第で解決できる問題だからだ。恋愛結婚はシステム(制度)ではなく、単なる“概念”である。本人が「恋愛」という通過儀礼にこだわらず、「恋愛以外の要素(感情や決定基準)を、結婚に発展させることはできないか」などと考え、それを実行すればいい。
2つ目は、恋愛結婚のベースにある「恋愛・結婚・出産」を三位一体だとする概念が根付いてから、日本ではまだ半世紀程度しか経っていないからだ。今日私たちの多くが“常識”だと考えて疑わない恋愛結婚も、60~70年前の日本では、大いなる“非常識”だった。それなのに、令和の今も「恋愛しなければ結婚できない」とする昭和の価値観を若者に強いるのは酷だろう。
3つ目は、この10年の間に、ゆとり世代(1988~94年生まれ)やZ世代(95~2004年生まれ)の未婚女性の間で「早婚願望」が顕著に高まっており、彼女たちの一部が「恋愛と結婚は別」などと口にし始めたからだ。
若者の早婚願望は複数の調査結果からもわかる。例えば、国立青少年教育振興機構の調査では、20~30代の未婚者、特に女性で「早く結婚したい」と答えた割合が4人に1人を超えた。
こうした傾向には、「妊活(妊娠に向けた活動)」ブームが少なからず影響している。不妊治療を受ける先輩や上司を目にし、「35歳までに1人目(の子)を産まないと」などと焦る気持ちが高まり、「結婚も早い方がいい」と(出産を)逆算して考える女性が増えた印象である。
「恋愛→結婚」の流れに歪みが生じている
一部の20代が「恋愛と結婚は別」と割り切るのは、「結婚は生活だ」と気づいているからだろう。「結婚相手に求める条件」でも、女性に「経済力」を望む男性が5割弱、また男性に「家事・育児の能力や姿勢」を望む女性は97%にも及ぶ。
恋愛においては、今も若者の多くが、男性に「男らしさ」を、女性に「女らしさ」を求める。それなのに結婚では、男性は未来の妻に「経済力」を、女性は未来の夫に「家事・育児力」を求めていることになる。これだけを見ても「恋愛→結婚」の流れに歪みが生じているのがわかる。