2024年3月号掲載
人望が集まるリーダーの話し方
著者紹介
概要
流暢なプレゼン、論理的な説明、力強い言葉…。「話が上手い」とは、こうしたことを指すと捉えられがちだ。だが、優れた人材を長年調べてきた著者によれば、それらは誤解。相手に信頼され、成果をあげ続ける人には、まったく別の共通点があるという。小手先のテクニックではない、「上手く話す」ことの本質を解き明かした書だ。
要約
話し方3つの誤解
言葉は、仕事や人生のあらゆる場面で使われる。
特にリーダーの仕事は、人を動かして成果をあげることだ。言葉が意図した通りに伝わらなければ、意図した通りに物事は進まない。逆に、言葉を上手く使いこなせば、物事を好転させられる。
にもかかわらず、多くの人は「上手く話す」ということを誤解している。
誤解1:話が上手い人は、流暢に多くを語る
最も大きな誤解は、「話が上手い人は、流暢に多くを話すものだ」といった誤解ではないか。
例えば、営業職は商品やサービスの説明、交渉など、対話を通して行う仕事であり、話が上手くなければ成果はあがらないと思われがちである。
しかし、ハイパフォーマー(継続的に成果をあげている人)を分析してみると、その多くは必ずしも話は上手くない。どちらかといえば朴訥としていて、誠実さを印象づけるような人が抜群の実績をあげている。
実際、「口下手な方が信頼される」という話は多くの人から聞く。昔と違って今では情報があふれているので、短い時間で多くの情報を口頭で伝える必要などない。ペラペラとしゃべり出した瞬間に、相手は売りつけられると警戒してしまう。
一般的に、職場において多く話すにもかかわらず、信頼が得られない人は多く存在する。こうした人は、なぜ必要以上に多く話すのか。
優秀であると示したいのかもしれないし、長く話せば説得力を持つと考えているのかもしれない。しかし、それ以上に、相手に反論されたくないという思いが裏にあるようである。
自分が多く話せば、相対的に相手が話す時間が短くなる。自信のない人の場合「反論されたら論破されるのではないか」などの思いが先立ち、ゆったりと構えることができないのである。
一方、自信があり、余裕のある人は、ある程度話すと少し間をおき、相手の理解を促し、また、相手が質問をはさむ余地を与える。どんな意見が出てきても、相手の主張を尊重しつつ、対話を続けることができるからだ。対話とは、多くを話せばいいというものではないのである。