2024年4月号掲載
「働き手不足1100万人」の衝撃
- 著者
- 出版社
- 発行日2024年2月9日
- 定価1,760円
- ページ数269ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
人手不足により、2040年には日本に住む人々の生活が破綻しかねない。そんな衝撃的予測を、リクルートワークス研究所が示した。物流、介護、医療などあらゆる分野で働き手が不足し、生活維持に必要なサービスが受けられなくなるというのだ。その実態や、危機的な未来を避けるための方策を、シミュレーションをもとに説く。
要約
2040年に1100万人の働き手が不足する
堰を切ったように進む賃上げ、採用難を乗り越えようとする企業や自治体の奮闘…。人手不足を報じるニュースを目にしないことはない。
日本社会に何が起こっているのか?
リクルートワークス研究所では、2023年3月に「未来予測2040 ― 労働供給制約社会がやってくる」という報告書を発表した。そこで浮かび上がってきたのは、衝撃的な日本の未来の姿だった。
生活維持のための労働力がなくなる
今回の未来予測研究は、日本社会におけるある切迫した状況に、強い問題意識を持ったことに起因する。それは、「労働供給制約」だ。
労働供給制約とは、社会を維持するために必要な働き手の数を供給できなくなる、構造的な人手不足のこと。社会の高齢化は、著しい労働の需給ギャップ(供給の不足分)、需要過剰をもたらす。
人は何歳になっても労働力を消費するが、加齢とともに徐々に労働力の提供者ではなくなっていく。この単純な1つの事実が、世界で最も速いスピードで高齢化が進む日本の今後に向けて、大きな課題を提示している。
つまり、高齢化率が高まるということは、社会で必要な労働力の需要と供給のバランスが崩れ、慢性的な労働供給不足に直面するということだ。これを「労働供給制約社会」と呼ぶ。
近畿地方の働き手が丸ごと消滅
2040年までの労働需給シミュレーションを行うと、全体の動きとしては、労働需要がほぼ横ばいの状況に対し、労働供給が大きく減少する。つまり、大きな“労働供給の制約”が発生する。
まず、労働需要については、人手を要するサービスへの依存度が高い高齢者人口の割合が高まることにより、減少局面には入らない。高齢層が特に医療、介護をはじめ物流業、小売業に対して強い労働需要を持つために、労働需要は今後も高止まりする可能性が想定される。
次に労働供給は、今後数年は踊り場状態にあり、2027年頃から急激に減少する局面に入る。将来にわたって労働供給の値は徐々に低下していき、需給ギャップは大きくなっていく。
これによって発生する労働供給制約という問題は、人手が足りなくて忙しいというレベルの不足ではない。2030年の労働供給不足の数は341万人余で、現在の中国地方の就業者数の規模に近い。