2024年12月号掲載

日本のなかの中国

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著者紹介

概要

日本に“中国人だけの経済圏”が形成されている! 日常の買い物から飲食、介護福祉事業まで。今、日本にいながら、日本人と付き合わず、中国人だけで完結する世界で生きる在日中国人が増えている。それは一体何を意味するのか。変わりゆく在日中国人の姿と、彼らが築いたコミュニティの実態を、綿密な取材をもとに明かす。

要約

日本人が知らない、中国人の世界

 政府統計によると、2023年12月末時点で、在日中国人は約82万2000人。山梨県や佐賀県の人口に相当し、全在日外国人の約3分の1を占める。

 2000年以降、ほぼ右肩上がりで増えており、当時、留学生として20代前半で来日した人は、すでに日本滞在が20年を超える。前述の統計では、在留資格別では「永住」が最も多く、次に多いのは一般企業の会社員が取得することが多い「技術・人文知識・国際業務」だった。

 こうした様々なデータから見えてくるのは、現在の在日中国人は、かつて私たちがイメージしていた在日中国人とは大きくかけ離れているという点だ。日本の中国人社会は、人口増加、経済力、SNSの発達、新たに流入してきた人々の影響などにより、変貌を遂げつつある。日本人との接点を持たず、「中国人だけで完結する世界」で生きている人が増えているのだ ―― 。

都内でブームの“ガチ中華”

 今、都内では“ガチ中華”がブームになっている。ガチ中華とは、本気(ガチンコ)の中華料理店という意味で、数年前から、高田馬場、新宿、池袋、上野、小岩などに増えている。

 いまや「四川風火鍋」「羊肉の串焼き」「ザリガニ」などのメニューは珍しいものではない。高田馬場の湖南料理店をのぞくと、客の9割が中国人で、店の雰囲気といい、メニューといい、まるで中国の飲食店そのものだった。

中国人による中国人のための空間

 2023年、東京・銀座に中国の独立系書店『単向街書店』の海外1号店がオープンした。中国のリベラル派で知られる著名な作家が運営に携わっており、ビルの1階と2階を占める。中国の有名作家の小説や古典など、中国語書籍が揃っている。

 この店の特徴は「ただの書店ではない」という点だ。中国の独立系書店と同じく、サロン形式の講座を定期的に開催している。2階に広いスペースがあり、そこに文化人や学者、経営者などのゲストを呼び、講座を開く。講師の7~8割は中国人で、参加者のほとんどは在日中国人だ。交流の時間があるので、講師とすぐに知り合いになり、その場でSNSでもつながって語り合えるという。

 このように、日本にいながら、ほぼ中国人だけで構成されるコミュニティは、私たち日本人が知らないうちに、ネットとリアルの双方に猛烈な勢いで広がってきている。

アヒル肉やガチョウの卵がSNS通販で大人気

 農場で生産したアヒルの肉やガチョウの卵などは、中国のSNS、ウィーチャットのグループでも販売している。農場を営む中国人経営者によると、中国の食材を生産する中国人経営の農場は関東を中心に増えており、その背景には在日中国人の需要の高まりがあるという。

日本のスーパーには、ほとんど行かない

 そうした農場の1つで生産された野菜や卵などを買っているという中国人男性から話を聞いた。

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