2025年4月号掲載

ニセコ化するニッポン

最新号掲載 ニセコ化するニッポン ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2025年1月30日
  • 定価
    1,650円
  • ページ数
    247ページ

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

近年、北海道のスキーリゾート・ニセコに、外国人富裕層が押し寄せている。1泊170万円のホテル、看板の多くが英語など、街の姿は日本とは思えない。その名を冠した「ニセコ化」とは、「選択と集中」によって、その場所が「テーマパーク」のような別世界になること。今、日本全体で起きているこの現象を、具体例とともに紹介する。

要約

「ニセコ化」とは何か

 北海道・ニセコ。このスキーリゾートは、すでに多くのニュースが報じているように、ここ数年、大量の外国人観光客が押し寄せている。

 2023年の外国人観光客は約160万人。ニセコ観光圏に属する3町の人口は約2万人だから、その数十倍である。ただ、数が多いだけではない。牛丼2000円、1泊170万円のホテルなど、日本人からすると、「モノが高すぎる」のだ。

 こう書くと「ニセコってすごいんだなあ、でも、自分には関係ないな」と思う人がいるだろう。だが今、日本全体で「ニセコ化」が進んでいるのだ。

選択と集中によるテーマパーク化

 「ニセコ化」とは何か。それは「『選択と集中』によって、その場所が『テーマパーク』のようになっていく」現象だ。

 もともと、ニセコ地区では西武グループなど、日本のデベロッパーがスキー場を経営していた。しかし、スキーブームの終焉や景気低迷の煽りを受け、これらは撤退してしまう。そこに目を付けたのが外国資本のホテルだ。2000年代半ば頃から、外国資本のホテルがニセコに建ち始めた。

 しかし、ただ外国資本のホテルが増えるだけでは、その魅力は上がらない。その時、外資のホテルが意識的に行ったのが「選択と集中」である。

ニセコにおける「選択」と「集中」

 「選択」とは、その場所に来る人々を「選ぶ」こと。ニセコの場合、ターゲットは明確に、「富裕層の外国人観光客」である。ニセコにあるホテルの名前を見ると、パークハイアットやリッツ・カールトンなど、高級ホテルがずらりと並ぶ。

 そして「集中」である。ニセコでは、「選択」されてやって来た富裕層が満足できるように、彼らに深く刺さるサービスを「集中」的に行う。

テーマパーク化する場所

 では、「選択と集中」の結果、ニセコはどんな姿になったのか。「テーマパーク」のような姿だ。

 ニセコの街を見ていると、「まるで日本ではない場所」に思えてくる。外国語の看板に外国資本のホテル。誰もそこを「日本」と思わないだろう。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

良心をもたない人たちへの対処法

マーサ・スタウト 草思社

人新世の「資本論」

斎藤幸平 集英社(集英社新書)

沈黙の春

レイチェル・カーソン 新潮社(新潮文庫)

世界から戦争がなくならない本当の理由

池上 彰 祥伝社(祥伝社新書)