2000年1月号掲載

富のピラミッド 21世紀の資本主義への展望

Original Title :BUILDING WEALTH

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著者紹介

概要

21世紀は、「富が人間の価値を決める唯一の基準」となる。国家も企業も個人も、競って経済力を身につけ、「富のピラミッド」を築こうとする。では、グローバルな資本主義世界で富を得るためには、何が必要か。その競争に勝ち抜くための知恵を、MIT(マサチューセッツ工科大学)のレスター・サロー教授が説く。

要約

富が人間の価値を決める!

 「富」とは、資本主義社会での成功の度合いをはかる尺度であり、いつの時代にも人々の序列を決める重要な要因であった。

 しかし、今では「人間の価値を決める唯一の基準」となった。

 それは、軍事力や政治力、名声や権威などの他の力が相対的に弱まり、逆に、経済力の価値、重要性が急速に高まっているからである。

変化の速い時代がもたらしたもの

 現在、第3次産業革命が起こっている。電子、コンピュータ、通信、バイオ技術などによって、生活のあらゆる面が変容している。

 また、技術の変化が極めて速く、次々に新しい事業が生まれる。この変化のスピードに追いつくために企業の合併・買収も急増し、1998年の合併・買収の総額は90年の5倍に達している。

 中でも、メルセデス・ベンツがクライスラーと合併したような国際的な合併・買収が速いペースで増えており、その結果、国籍を持たない「世界企業」が次々に誕生している。

 同時に、事業は「売買するもの」となった。かつて事業を売却することのなかったシーメンスのような企業でさえ、今では本業に専念するために周辺事業を売却している。

カウボーイ資本主義

 また、企業は世界で最もコストの安いところで生産し、最も価格が高いところで販売できるようになった。さらに、インターネットを使えば、世界中で販売できる。

重要視される経済力

 そんな世界で通用するのは“力”だけだ。そしてそれは、政治力や軍事力ではなく経済力なのだ。

 国家はもはや、自国の経済さえ管理する力はない。旧ソ連やチェコスロバキアを見ればわかるが、国家も“分割”や“合併”の対象となっている。

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