2002年10月号掲載
プロカウンセラーの夢分析 心の声を聞く技術
著者紹介
概要
自分自身の心の深層の声、つまり無意識の現れである「夢のメッセージ」を知る方法を紹介する書。40年にわたって夢を心理療法に用いてきた著者は、どんなに不可解な夢や怖い夢でも、その解釈の仕方さえ知れば、自分の人生を切り開くのに役立つと説く。プロカウンセラーの夢分析の手法を身につけ、自分の人生を良い方向に変えるための1冊である。
要約
「無意識」はあなたを守っている
夢分析は「自分の声」を聞く技術だ。夢は「自分の無意識からのメッセージ」である。
では「無意識」とは、そもそも一体何なのか?
人間は知性的な動物であるはずなのに、わざわざ自分の身体に悪いことをしたりする。喫煙や過度の飲酒がそうだ。身体に悪いと知っていて、しかもやめようという意志までありながら、なかなかやめることができない。
「わかっているのに、やめられない行動」。これを「神経症的行動」という。
人がなぜ、このようなバカげた行動をするのかというと、それは「人間は自分が意識できている考えだけで行動しているのではない」からだ。
人間が自分で意識している領域は、いわば海面から出ている氷山の部分だけで、より大きな残りの部分は海面下にある。この海面下の部分を、臨床心理学では「無意識」と呼んでいる。
人間の行動は、自分が意識している部分だけでなく、この無意識の影響を受けている。つまり、自分の思う通りに行動できないのは、無意識がそれを妨げているからなのである。
カウンセラーにとって、神経症的行動(例えば出社拒否症など)を改善するための技法の第1は「聞くこと」だ。
カウンセラーが患者の話を徹底して聞いていくうちに、患者の意識だけでなく無意識も変化していく。人間は、自分の気持ちを聞いてもらえると、自分自身や世界の見え方が変わるものなのだ。
この「聞くこと」と同様に重要な技法が、夢分析だ。先述のように夢は「無意識の産物」であり、意識からだけではわからない心の様相がわかる。無意識の考えがわかると、その人がしているバカげた行動の意味もわかってくるのだ。
つまり、無意識まで含めて考えると、「バカげた行動」をすることによって、もっと危険な行動をするのを防いでいることなどがわかってくる。「したいのになかなか取りかかれない行動」は、実は無意識が「今はまだその時期ではない」と判断していることが多い。例えば、今のままのペースで行動に踏み出すと身体や心が燃え尽きてしまう、というように。