2004年7月号掲載

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる

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著者紹介

概要

「米国の日本改造が進んでいる」というサブタイトルがつけられた本書の強みは、あやふやな“陰謀説”ではなく、全て米国の公文書に記された「事実」に基づいて、理路整然と論旨が展開されている点だ。日本の一連の改革が、実は米国に操られたものだとしたら ―― 。米国が都合のいいように日本を作り替える「知られざるメカニズム」の実態を暴く!

要約

国際基準という名の「日本改造」

 米国による「日本改造」が着々と進んでいる。実は建築基準法の大改正も、その1つだった。

 阪神・淡路大震災から3年後の1998年、日本政府は、建築基準法を全面的に改正した。建物の安全性などの審査基準を抜本的に見直す「約半世紀ぶり」の大改正である。

 これは、建物の「仕様(建て方)」を細かく規制した従来のルールを、建築材料の「性能」を規定するルールへと変更する、というものだった。

 タイミングから見て、大震災による被害の衝撃が法改正の原動力になったと想像された。

 ところが、改正内容を検討した建築審議会の答申書を読むと、奇妙な記述にぶつかる。

 まず答申書には、新しい性能基準は「国民の生命、健康、財産の保護のため必要最低限のものとする必要がある」と書かれている。必要最大限ではなく、“最低限”なのである。普通に考えれば、恐るべき被害を繰り返さないためには、建築基準に関する規制の強化こそが必要なはずだ。

 さらには、法改正の背景として、阪神大震災の教訓とは別に、「海外の基準・規格との整合等を図ること」と、「我が国の建築市場の国際化を踏まえ、国際調和に配慮した規制体系とすること」が必要である、と書かれている。

 もし、建築基準見直しの目的が大災害の予防にあるなら、海外の基準や国際規格との整合性など、二次的な問題のはずではないだろうか。

 日本の「仕様規定」は、大工たちの熟練技術に支えられた木造建築の伝統工法を前提としている。それを「性能規定」に変更するということは、日本古来の匠の技を不要にし、外国の建築工法や建材の流入に道を開くこと以外の何物でもない。

 また、地震の多い日本の建築基準は、国際規格より厳しいが、それを海外に合わせることは、基準を「必要最低限」まで緩和することに等しい。

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