2005年10月号掲載

日米は中国の覇権主義とどう戦うか

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著者紹介

概要

中国が、アジアでの覇権を求めて動き出している。反日行動も、米国に対抗しての軍事力増強も、先端技術への莫大な投資も、中国が密かに進めつつある国家戦略の一部だ。日本は今後、米国とどんな関係を築き、この野望に立ち向かえばよいのか? 「日高義樹のワシントン・リポート」でお馴染みの著者が、各国の意図を鋭く分析しつつ、日米中の新たな姿を探る。

要約

スーパーパワーを目指す中国

 中国は秘密主義の国である。今後も共産党独裁による専制的な政治体制が続く限り、「透明」になることはない。従って、中国の指導者の考えを知るには、彼らの行動を克明に探るとともに、その意図を分析する必要がある。

 経済が急速に拡大した結果、中国の国内事情はますます難しくなっており、文化大革命や天安門事件以上の大騒動が起きる危険性が高まっている。中国の指導者のあらゆる行動は、そうした危機を乗り越えるためのものだと考えるべきだろう。

 では、中国が秘密裏に実行しようとしている国家戦略とはどのようなものか?

 米国の中国専門家は、中国が今や超大国ではなく、それ以上のレベル、すなわち世界を率いるスーパーパワーになるべく努力していると見ている。

 中国の指導者がスーパーパワーを目指すのは、それが実現できなければ国が分裂してしまうからである。「中国がスーパーパワーになる」という夢を国民に与えることによって、急速に高まりつつある不平不満を処理しようと考えているのだ。

 中国は、明らかに劇的な経済拡大を続けている。ハドソン研究所の報告によると、2010年に中国のGDPは10兆5000億ドルになる。これは米国経済のほぼ60%で、EUと肩を並べる。また、日本の2.5倍になる。

 さらに驚くべきは、この10年間で中流階級の人々を4億人も作り上げたことである。

 中国の指導者たちは、こうした中流階級を中心とする新しい中国社会を作ることによって、国の崩壊と分裂を避けようとしている。

2015年、中国が先端技術で日本を追い越す

 中国の生き残り戦略は第1に、技術超大国として米国や日本に勝ち、独自の力で新しい富を築く ことである。中国がその立場を確立しつつあることは、米国の国立科学財団が計算した世界各国の「技術競争指数(企業の技術力を表した数値)」に明確に示されている。

 1999年には、米国350、日本300、ドイツ275、中国はわずか206だった。これが6年後には、中国の指数が大きく伸びて240.5になっている。

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