2005年12月号掲載
中国人の愛国心 日本人とは違う5つの思考回路
- 著者
- 出版社
- 発行日2005年10月31日
- 定価770円
- ページ数202ページ
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著者紹介
概要
世界とのつながりを急速に強めつつある中国。それに伴い、グローバル化の波が否応なく彼らに打ち寄せている。それは、中国人のアイデンティティをかたち作る「愛国心」「歴史観」「徳」「中華意識」「受容と抵抗」にも、大きな影響を及ぼしている。彼らが抱える 藤、小さな変化の兆し。日中双方の異質性に目を向ける著者が、その知られざる心を解明する。
要約
中国人の心を読み解く5つのカギ
2005年4月に中国で起こった反日デモは、多くの日本人に驚きと衝撃を与えた。
音楽、アニメなどの日本文化に憧れつつ、反日デモを起こす中国の若者たち —— 。日本人にとって、その気持ちを理解することは非常に難しい。
そうした中国人の心を読み解くためには、次の5つのキーワードを理解する必要がある。
① 愛国:中国人にとって「愛国心」は中国魂
中国では、毎年5月4日に成人式が行われる。
5月4日といえば、第1次大戦中、日本が中国に突きつけた21カ条の要求に強く反発した北京大学の学生が、五・四運動を始めた日である。
つまり、中国の若者が個人と祖国・民族の運命は1つのものと考えて奮い立った記念すべき日であり、青年に自覚を促すには都合がよいのだ。
新成人たちはこの儀式で、理想を持ち、道徳観念を備え、文化的かつ規律を持った社会主義の一公民になることを純粋な気持ちで誓い合う。言い換えれば、これは「愛国の宣言」でもある。
中国人にとっての「愛国心」は、自分が中国人であることを示すアイデンティティの1つである。日本に「大和魂」があるように、彼らには「中国魂」がある。では、愛国の目的は何か?
国が国民に愛国心を求めるのは、強国政策のためである。強い国をつくるには、国民に自覚を求める「自強」が必要であり、「1人1人が強くなりなさい」と説かれる。
愛国教育が熱心に行われる中国では、昔から学ぶことは愛国のためのものだった。そうした風土があるため、知識人ほど愛国を叫ばざるを得ない。
愛国心を持った知識人は、「士」と呼ばれる。現代の学生がよく愛国を叫ぶのには、士として認めてほしいという願望も含まれている。