2006年1月号掲載
現代の経営[上・下] ドラッカー名著集2・3
Original Title :THE PRACTICE OF MANAGEMENT
著者紹介
概要
“マネジメントの父”と称されるピーター・F・ドラッカーは、96年の生涯において、約50冊の著作を残している。その中でも、本書『現代の経営』は、氏の経営書の三大古典の1つに数えられる、総合的経営書である。原著は1954年、ドラッカーが44歳の時に著されたものだが、その内容は今もなお色褪せない。企業経営における原理原則と、その全容を見渡す上で必須の1冊であると言える。
要約
第1の機能:事業のマネジメント
一般にマネジメントとは、企業のマネジメントを意味する。
そして、その企業の存在理由は、財とサービスの提供にある。すなわち、企業の本質を規定する決定的原理は、あくまでも経済的な成果である。
従って、マネジメントは経済的な成果を上げることによってのみ、その存在が正当化される。
このマネジメントの機能は、3つに大別できる。第1の機能は、「事業のマネジメント」である。
企業の目的
企業とは何か。これを理解するためには、企業の目的から考える必要がある。
企業の目的として有効な定義はただ1つ、「顧客を創造する」ことである。
企業の行為が人間の欲求を有効需要に変えた時、初めて顧客が生まれ、市場が生まれる。
マーケティングとイノベーション
企業の目的が顧客の創造であることから、企業には2つの基本的な機能が存在することになる。「マーケティング」と「イノベーション」である。
マーケティングは、単なる販売よりもはるかに大きな、全事業に関わる活動である。従って、マーケティングに対する関心と責任は、企業の全領域に浸透させることが不可欠である。
一方、イノベーションはより優れた、より経済的な財やサービスを創造・供給することだ。企業は、より優れたものを創造し供給する必要がある。
企業にとって、より大きなものに成長することは必ずしも必要ではない。しかし、常により優れたものに成長する必要はある。