2015年7月号掲載
HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか
Original Title :THE HARD THING ABOUT HARD THINGS
著者紹介
概要
「HARD THINGS」とは、困難のこと。著者は、今はシリコンバレーの著名投資家だが、かつてはIT企業の立ち上げ後にITバブルが崩壊、資金がショートし、最大顧客が倒産するなど、辛酸をなめ尽くした。この壮絶な困難の中で得た教訓を伝える。まさに絶体絶命の窮地を脱した人物が語るアドバイスは、IT企業のみならず、あらゆる業種、組織の人の参考になるだろう。
要約
HARD THINGSからの学び
マネジメントについての自己啓発書を読むたびに、私は「なるほど。しかし、本当に難しいのはそこじゃないんだ」と感じ続けてきた。
本当に難しいのは、大きな目標を設定することではなく、大きな目標を達成しそこなった時に社員を解雇することだ。本当に難しいのは、優秀な人々を採用することではなく、その優秀な人々が既得権にあぐらをかいて不当な要求をし始めた時に対処することだ。
私は、この本で難しい問題への対処法を提供するつもりはない。その代わりに、私がどんな困難(HARD THINGS〈ハード・シングス〉)に直面したかを語ろうと思う。
会社を立ち上げれば窮地に陥る時が必ずある。私はそういう状況を経験し、切り抜けてきた。そこから私が得た教訓。それは、次のようなものだ。
悪戦苦闘
どの起業家も、成功への明快なビジョンを持って会社を立ち上げる。そして、昼夜を問わず働く。だが、ある朝目覚めると、物事が計画通りに進んでいないことに気づく。製品は問題を抱えている、上得意の顧客を失う、卓越した社員を失う…。
こんな八方塞がりの時、私の助けになったことをいくつか紹介しよう。
・1人で背負い込んではいけない
重荷を全て分かち合えないとしても、分けられる重荷は仲間と分け合おう。
・単純なゲームではない
ITビジネスはとてつもなく複雑だ。テクノロジーが動くとライバルが動き、市場が動き、人が動く。それゆえ、常に打つ手はある。
・長く戦っていれば、運をつかめるかもしれない