2006年5月号掲載

中国は日本を併合する

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著者紹介

概要

尖閣諸島・魚釣島の領有権を主張する中国。最近、東シナ海では、同国による不穏な動きが目立つが、これは決して偶発的なものではない。かつてアヘン戦争などで帝国主義列強に奪われた領土を取り返そうとする、国家戦略の一環なのだ。本書は、“中華思想”に基づくこの国家戦略を、「核・海洋・宇宙」という、中国が掲げる3つの国家目標を軸に描き出す。

要約

中国の国家戦略とは?

 2004年に発生した中国人活動家の尖閣諸島・魚釣島の不法上陸、日本側海域に隣接した東シナ海春暁ガス田の採掘施設工事の着工、中国の原子力潜水艦の日本領海侵犯…。

 これら一連の事件は突発的なものではない。1970〜80年代にかけて中国が南シナ海の実効支配を進める中で、ついに日中中間線に近い中国側海域で石油資源開発に着手し、日本側海域での海底調査を日本の反応を見つつ拡大し、常態となった末の必然的な事件である。

 すでに、日中中間線をまたがる形で存在する石油資源が、中国側海域からの開発によって、ストローで吸い上げられるように汲み取られようとしている。中国による日本側海域の海洋資源調査も活発化し、東シナ海、尖閣諸島周辺海域ばかりでなく、西太平洋にまで進出している。

 恐るべきはその速さで、遠くない将来、日本側海域で採掘施設が出現することは明らかである。

 近年に入って、中国の国家目標は「核・海洋・宇宙」という3つの領域に明確に焦点を定められ、それらが国家の総合力として有機的に機能しつつある。

 侵略・併合というものが、常に武力衝突を伴うものではないことを、日本国民はしっかり認識すべきであろう。これが、中国と日本の国力の差、軍事力の差、国家戦略の有無の差なのである。

 中国は無目的に拡張しているのではなく、常に明確な国家目標のもと、国家戦略を持って動いている。その目標とは、「中華帝国」の再興だ。

 毛沢東の中国革命の根底にあった歴史観は、最盛期の清朝を理想像とし、清朝がその時代に有していた中華帝国の歴史上最大の版図が、中国の持つべき領土だということである。

 

毛沢東が指導した中国の核開発

 1842年にアヘン戦争に敗れた清国は、その後、混乱の時代が続いた。そして1949年に中華人民共和国が成立し、近代国家として踏み出したが、実にその間、100年以上の年月を要したのである。

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