2006年7月号掲載
ユダの福音書を追え
Original Title :The Lost Gospel
- 著者
- 出版社
- 発行日2006年5月8日
- 定価2,090円
- ページ数389ページ
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著者紹介
概要
1800年前、キリスト教の世界で「異端」のレッテルを貼られ、禁書とされた『ユダの福音書』。この幻の福音書の写本が、長い時を経て、1970年代半ばにエジプトの洞穴で見つかった。そして、その解読作業が進むにつれ、明らかになったのは、従来の常識を覆す、驚くべき事実だった。何と、ユダは“キリストを売った男”ではない、というのだ!
要約
世紀の大発見!
1970年代のある日、エジプトの砂漠で、1500年以上もの間、人目に触れることのなかった文書が発見された。きっかけは、ナイル川の岸辺近くで、地元の農民が洞穴を見つけたことだった。
彼らは奥に入り、山のような人骨の中から、崩れかけた石灰岩の箱を見つけた。開けてみると、革張りの謎めいた書物 —— 写本が入っていた。
その本が聖書考古学上の大発見であることなど、農民たちは知るよしもなかった。それは、1800年前、「異端」のレッテルを貼られ、禁書とされた文書、『ユダの福音書』だった。
“裏切り者”ユダ
イスカリオテのユダ —— 彼こそは、歴史上で最も嫌われている人物の1人だ。イエス・キリストの使徒でありながら、師を裏切った。何世紀もの間、その名は“裏切り者”と同義語だった。
だが、裏切り者として悪名高い人物でありながら、彼についてわかっている事実はほとんどない。
ユダは12使徒の1人である。使徒の中の会計係で、イエスの信頼が最も厚かったという記述もあるが、それが彼の裏切り行為を一層卑劣なものとして際立たせている。
新約聖書に正典として含まれている4つの福音書は、いずれもユダを悪者扱いしている。しかし、彼の裏切り行為に関する詳細については、それぞれの福音書でかなり食い違いが見られる。
最初に書かれた『マルコによる福音書』では、なぜユダがイエスを磔刑へと追いやったのか、その理由が書かれていない。
『マタイによる福音書』では、ユダは銀貨30枚のためにイエスを裏切り、後に自責の念から首を吊ったとされる。
『ルカによる福音書』では、ユダは悪魔に操られて裏切ったとされ、『ヨハネによる福音書』では、ユダ自身が悪魔になったとされる。
つまり、新約聖書の著者たちはそれぞれの見方でユダをとらえ、書いているのだ。