2023年3月号掲載

韓非子 全現代語訳

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概要

法律や権力による強い統制でもって国を治めよ ―― 。支配者たるべき者の統治思想を、現実主義的な観点から説く『韓非子』。春秋戦国以後、2000年以上読み継がれてきたこの中国古典を、平易な現代語訳で紹介する。人間の本質を鋭く抉るその思想は今なお古びず、精彩を放つ。マキャベリの書と並び称される“不滅の君主論”だ。

要約

人間の本質に迫る『韓非子』

 

愛臣

支配者が永く権力を保つためには、臣下に権力を与えてはならない。愛臣とは、寵愛する臣の意味。

 寵愛する臣があまりに親しみ狎れすぎると、必ず君の身を危うくする。

 大臣があまりに貴くなりすぎると、必ず君主の位にとって代わろうとする。妾の主だった者が、正夫人と尊卑の差がないほどになれば、必ず嫡子の身を危うくする。君主の兄弟が君に服従しないと、必ず社稷を危うくする。

 されば諸侯が広大なのは、天子にとって害となる。群臣が過度に富むことは、君主の敗亡の因である。将軍宰相が君主をまどわし、わが家を盛んにするもの、これこそ人の上に立つ君が疏外すべきものである。

 万物のうち、わが身ほど大切なものはなく、わが位ほど尊いものはなく、君主の威光ほど重いものはなく、君主の権力ほど高いものはない。この4つのよきものは、外に求めたり、人に乞うたりせずとも、振り返って見れば、すでにわが身に具わるものであった。

 で、私はこう警告する、君主がその富を活用できない時は、追い出されて異郷で死ぬはめに陥る、と。これこそ、人の上に立つ者の記憶すべきことである。

 

二柄

二柄とは、賞と罰の2つのハンドルのこと。これが君主の最も有力な武器である。

 賢明な君主が、それによってその臣を制御するところのものは、2つの柄にほかならない。2つの柄とは刑と徳である。

 何を刑といい、何を徳というか、というに、殺戮を刑といい、褒賞を徳という。人の臣たる者は、刑罰を畏れて褒賞を利とする。ゆえに君主が自ら刑と徳を用いれば、群臣は刑罰の威を畏れ、褒賞の利に就くであろう。

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