2006年11月号掲載
成功者の絶対法則 セレンディピティ “偶然のひらめき”は、失敗のあとにやってくる
著者紹介
概要
偶然をとらえて幸運に変える力を「セレンディピティ」といい、多くの大発明家や偉大な起業家がこの力によって成功している。この“偶然の幸運”は、ただ待つだけでは得られない。日々、地道に努力し、成功の種を蒔く人だけが手中にできる。では、どんな要素がセレンディピティを引き寄せるのか。本書は、成功者の日々の行動や考えからそれを探っていく。
要約
「セレンディピティ」とは?
「なぜ、彼は運よく成功したのか」「失敗したと思っていた彼が、なぜ成功したのだろう」…。
我々の周囲には、必ずそういう人がいる。中には、大きな失敗をした後で、偶然の幸運やひらめきを大きな成功に変える人もいる。
では、なぜ彼らは、我々と同じ日常の中から、「運よく」成功を取り出せたのか?
それは、彼らが以前に成功の種を蒔いていたからだ。日々よく種を蒔いている人は、それだけ幸運に当たる確率も高い。これは運不運の問題ではなく、幸運を引き寄せる「能力」の問題である。
そのような、偶然をとらえて幸運に変える力を「セレンディピティ」と呼ぶ。
我々は誰しも、このセレンディピティの特性を理解することで、成功に近づくことができる。
失敗の後からやってくるセレンディピティ
「電気を通すプラスチック」の研究で、2000年度ノーベル化学賞を受賞した筑波大学名誉教授の白川英樹氏。その発明の過程では、2つの「幸運な偶然」が関係していたという。
1967年、当時、東京工業大学の助手であった白川氏の指導のもとで、韓国人留学生がポリアセチレンの合成実験を行った。
ところが、この留学生が合成したものは、予期した黒い粉末とは似ても似つかない「銀色のフィルム」だった。必要な触媒の量を1000倍も多く入れてしまったのが、その原因である。
しかし、この失敗作こそが、電気を通すプラスチックだった。
もう1つの偶然は、共同でノーベル賞を受賞したアラン・マクダイアミッド教授との出会いだ。