2007年1月号掲載
「ゆでガエル現象」への警鐘
著者紹介
概要
水が入った鍋にカエルを入れ、徐々に温めると、温度の変化に気づかず、やがて沸騰した湯の中で死んでしまう。「ゆでガエル現象」とは、このように、人や組織がゆっくりした環境の変化に気づかず、最終的に致命的な状況に至ること。マンネリ化が招くこの現象の怖さは、以前からも指摘されているが、いまだに各所で散見される。―― あなたは大丈夫だろうか?
要約
全ての事象は常に刻々と変化する
チャールズ・ダーウィンはこう言っている。
生き残るのは、種の中で最も強い者ではない。
種の中で最も知力の優れた者でもない。
生き残るのは、最も「変化」に適応する者である。
この言葉は、大変意味深い。
変化は不変に起こる。それにどう対応するかが課題なのであって、対応できずに放置すれば、残る対策は「破壊」だけとなってしまうことが多い。
社会を見ると、頻繁に「ゆでガエル現象」を目にする。そしてそのほとんどが、大きな社会的問題や経営・政治の問題に発展している。
ゆでガエル現象とは、上昇する温度の変化に気づかないカエルがゆで上がってしまうことだ。
カエルを1匹、水を入れた鍋に入れる。その鍋を徐々に温める。温度の変化が少しずつなので、カエルは何の不安も持たずに鍋の中にいる。そして高温になっても気づかず、やがて沸騰した湯の中でゆで上がって、最後は死んでしまう。
今度は別のカエルを、その沸騰した湯の中へ入れる。カエルは驚いて、必死で鍋から飛び出す。火傷をするかもしれないが、死なずにすむ。
すなわち、前者は変化に気づかずに死に、後者は反射的に変化を察知して生き残る。