2008年4月号掲載
不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか
著者紹介
概要
「おはよう」の挨拶もなく、皆淡々と仕事を始める。何となくイラついた雰囲気が漂う…。こんな“ギスギスした職場”が今、増えつつある。会社を悪くしたいと思う人は1人もいないはず。それなのに、なぜか社員同士が協力し合えず、ストレスのたまる職場となる。本書は、そんな現状を社会心理学の観点などから分析、併せて職場を改善するための具体策を示す。
要約
職場で何が起きているのか
今、職場がおかしい。会話が少なく、何か冷めた感じの職場、ギスギスした職場が増えている。
職場で何が起きているのか?
このような職場では、まず、各人の仕事が細分化されており、そうした業務には、個々人で判断・対応しなければならないものが多い。
さらに、全社員が個人成果へのプレッシャーの中で働かなければならない状況に置かれている。
加えて、周囲の人を知る機会が少ない。朝礼や部会などは業務の進捗報告が中心で、互いの状況や悩みをシェアするような機会はほとんどない。
そんな状況の中、各人は自分の業務を1人でこなす。業務量は多く、残業もしなければならない。だが、これだけ自分は忙しいのに、誰もわかってくれず、声を上げても手伝ってくれない…。
こんなことを繰り返した結果、自分を守るため、自分の内と外の世界に明確に線を引き、何か起きても自分には関係ないと無関心を装うようになる。
こうした職場は、社員のモチベーションに影響を与え、まじめな人ほど追い込んでしまう。
また、企業活動自体にも影響を与える。
1つは、生産性の低下だ。協力し合えばスピーディに判断・行動できたことが、できなくなる。
さらに、品質に関わる問題も生じる。協力し合えないことで、互いのミスが発見できない。問題を感じていても指摘しない。これが、最終的には組織の自浄作用を失わせ、品質への信頼を揺るがすような大問題を引き起こしてしまうのである。