2008年6月号掲載
自滅する企業 エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病
Original Title :THE SELF-DESTRUCTIVE HABITS OF GOOD COMPANIES
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年4月30日
- 定価2,090円
- ページ数380ページ
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著者紹介
概要
人間の平均寿命は延びているのに、企業の寿命は短くなっている。しかも、優良企業とて例外ではない。それはなぜなのか。本書は、その原因が「自滅的習慣」にあると特定し、これを7つに分類。併せて、その症状、治療法、予防策も紹介する。まるで人間の生活習慣病のように、静かにゆっくり組織を蝕むこの習慣を絶つには、早期発見・早期治療しかない。
要約
7つの「自滅的習慣」
世界の一流企業として君臨した多くの会社が、経営難に陥ったり、消滅したりしている。それは、外部環境が変わっているのに変化を起こすことができないからだ。
では、なぜ変われないのか? その根底には、企業が名声を獲得していく過程で身につけてしまう、次の7つの「自滅的な習慣」がある ── 。
①現実否認症
多くの企業では、底辺から出発したことを忘れ、自らの偉大さを神話化するようになると、「現実否認」が進行し始める。
幸運に恵まれ、偶然成功した企業は多い。例えば、ダイムラー・ベンツの幸運は、1台のメルセデスが正面衝突に巻き込まれた時に起きた。
その車の持ち主は無傷で脱出し、車の安全性にいたく感動する。彼の名はアドルフ・ヒトラー。彼は直ちにメルセデスを政府公認の自動車としたため、同社は瞬く間にドイツ最大の企業になった。
偶然から成功することは何も悪くない。問題が起こるのは、創業時のことを忘れ、幸運な出来事を全て自分たちの手柄にするようになる時だ。
創業者がいなくなると、社史の事実を脚色した神話が作られるようになる。それは時とともに正統性を帯び、定石になる。環境が変わらない限り、定石もうまく機能するが、変化の波が打ち寄せると、現実から目を背けさせる。
現実否認を引き起こす変化は様々だが、特に可能性が高い変化は、新しいテクノロジーの出現だ。
例えば、1960年代、ゼロックスはコピー機市場をほぼ独占していた。さらに同社の研究センターでは、レーザープリンタや世界初のパーソナルコンピュータまで開発していた。「アルト」という名のそのパソコンには、高性能なグラフィック、マルチウィンドウ、マウスまで揃っていた。
だが、同社はエンジニアが創造した未来を否定した。77年、アルトを売り出すかどうかを考えた末、過大評価された“電子タイプライター”のゼロックス850を選ぶ。そして、発売日にはすでに時代遅れになっていた850は完敗に終わった。
80〜90年代、ビジネス界がコピー機からコンピュータに接続するプリンタへと移行する間、同社は暗闇をさまよい続けた。結局、ゼロックスは天下のコピー機会社であり、足元で世界が動いていた現実を認めることができなかったのだ。