2008年9月号掲載
分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学
Original Title :Competing on Analytics:The new science of winning
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年7月28日
- 定価2,420円
- ページ数302ページ
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著者紹介
概要
アマゾン、サムスン電子、マリオット・インターナショナル…。今、データ分析を徹底して行い、その結果に基づく戦略を立て、意思決定に結びつけている企業が、様々な業界で高い業績を上げている。本書ではこうした、「分析力を武器とする企業」の事例を多数紹介。それらの企業に共通する特徴を明らかにし、分析力を競争優位に結びつけるための方策を説く。
要約
データ分析で競争に勝つ
ブロックバスターは、全米最大のレンタル・ビデオ・チェーンである。年商は30億ドル超。海外へも出店し、この分野では敵なしと言ってよい。
そんな中、1997年、オンラインのレンタルDVDサービス会社、ネットフリックスが誕生した。
ブロックバスターが市場を支配しているので、同社の失敗は確実と思われたが、そうはならず、成功を収めた。99年に500万ドルだった売上高は、2006年には10億ドルを誇るまでになった。
成功の最大の理由は、データ分析力にあった。例えば、顧客の行動パターンを分析し、「シネマッチ」と名づけられた推奨エンジンが、お客に飛び切りの「おすすめ」を提案する。
膨大な数の映画を分類してクラスター(群)に分ける、顧客が好むクラスターを見極める、ウェブサイトでの行動パターンを読み取る、等々の作業を行っているのだ。
同社が行う様々な実験では、生データの集計はもちろん、定量分析、定性分析の多様な手法が駆使される。コンセプト実験、広告の訴求効果測定、ブランド認知調査、顧客満足度調査…。こうした実験精神が、社内全体に浸透している。
このネットフリックスの手法は、分析を積極的に活用しようとする企業に共通するやり方である。
今日、企業は独自技術を編み出してもあっという間に真似をされ、製品やサービスで差をつけるのは以前よりはるかに難しくなっている。
となれば、競争の決め手として残っているのは、1つ1つの業務プロセスを最高の効率と効果で実行すること、あるいは、最適の意思決定を効率よく下すことしかない。まさにそれを実践しているのが、「分析力を武器とする企業」なのだ。
例えば、ある企業が成功しているのは、客が気持ちよく払えるような価格を巧みに設定しているからかもしれない。もしそうなら、プライシングに分析力が活躍しているはずだ。
あるいは、どの店舗も立地がよく集客力が抜群なら、立地の選択を分析的に行っているはずだ。