2008年10月号掲載
プロ講師が使っている 朝礼・スピーチの「つかみ」話材
著者紹介
概要
オタマジャクシがカエルになる時の変化は凄まじい。エラ呼吸が皮膚呼吸になり、骨格も大きく変わる。我々もこのように激変しよう。行動を、ものの見方を、考え方を変えるのだ ―― 。スピーチの冒頭に、こうした「つかみ」を用いると、聴く人の心をぐっと惹きつけることができる。そんな使える話材の数々を紹介するとともに、心に残る話し方のコツを説く。
要約
プロ講師が使う「つかみネタ」
漁師によれば、海の沖合で捕ったナマコを生きたまま港に持ち帰ろうとしても、港に着いた時には皆死んでいることが多いという。
そこで、ナマコを入れた水槽にナマコの天敵であるカニを入れる。すると、ナマコは臨戦態勢に入る。その緊張感がナマコの生命力を上げるので、生きたまま港まで持ち帰ることができる ―― 。
この話は、そのままビジネスに当てはまる。
人はライバルの存在により危機感を持つが、それは自らを高めるために必要な感情だ。企業もライバルと競争することで、より良い商品・サービスを提供でき、その結果として繁栄できる。
つまり、ライバルほどありがたい存在はない。そう解釈すると、このナマコの話は凄い教えだ。
こうした比喩を使った「つかみネタ」はわかりやすく、いつまでも心に残ることもあって、講演やセミナーのプロ講師はよく活用する。そんなつかみ話材には、例えば、次のようなものがある。
ムササビの挑戦とダチョウの選択
ムササビは羽がないのに飛べる。木の枝から一気に飛び降り、飛膜という膜を広げて飛んでいく。
ただし飛膜は羽ではないので、飛び降りたらまずは急降下する。だが、しばらくすると飛膜が空気抵抗を受けて、グライダーのように滑空できる。
ムササビが初めて飛び降りる時は、相当の勇気が必要だったはずだ。しかし、飛べることを信じて疑わなかったのだろう。この“初めの一歩”がなければ、ムササビは絶滅していたかもしれない。
我々が何かに挑戦する時も同じである。自分を信じ、最初の一歩を踏み出す勇気を持つことだ。
このムササビとは反対に、ダチョウは元々飛んでいた。だが、100㎏を越す体では飛ぶのが難しくなってきた。そんな時、自分の足を見て、長く頑丈なのに気づき、走るようになったのだろう。