2008年11月号掲載
P&G式 世界が欲しがる人材の育て方 日本人初のヴァイスプレジデントはこうして生まれた
著者紹介
概要
米雑誌『フォーチュン』で、従業員能力世界1位にランキングされたP&G。同社の出身者がGEやマイクロソフトのトップマネジメントを務めるなど、その人材育成能力には定評がある。そんなP&Gの人材育成の要諦を、女性として初めてP&Gジャパンにマネジメントキャリアとして入社し、米P&Gのヴァイスプレジデントにまで登りつめた和田浩子氏が語る。
要約
P&Gの人材育成
パンパース、ウィスパー、ファブリーズ…。今、P&Gには、売上が約1000億円以上のメガブランドが世界中で23個もある。
これほどの数のメガブランドを抱えている企業は他にないのではないか。
そんな同社の強さの秘密は、マーケティングにあると言われる。確かに、ブランドを生み育てていくノウハウや消費者起点のマーケティングは優れている。だが、それだけではない。
P&Gの強みは人材育成である。マーケティング部だけでなく、研究所、人事、営業等、全ての部署で、高い能力を持つ社員が作り出されている。
ブランドを繁栄させていくのは人であり、優れた人材を育て続けるためには、戦略的な人材育成が不可欠である ―― 。こう考えるP&Gでは、次のようにして人材を育成している。
目的は何ですか
入社当初、よく聞かれたのが、「目的は何ですか」ということである。
例えば、ポスターのデザイン案を上司に見せると、「このポスターの目的は何?」と聞かれる。製品の認知度を高めたいのか、魅力的なプレミアムグッズに注目してほしいのか、といったことだ。
そうやって、1つ1つに「目的、目的」と言われ続けたので、「まず目的ありき」という思考が染みついた。それがその後、とても役立った。なぜなら、目的が全ての行動をシンプルにし、目的さえ決まれば、やるべきことが見えてくるからだ。
この目的主義は、P&Gの「躾」ともいえる仕事の基本的な進め方である。
ワンページメモ
P&Gに入って叩き込まれたスキルの1つに「メモライティング」がある。P&Gで「メモ」と呼ぶ会議報告や企画書などの文書を、簡潔かつ効果的に書くスキルである。
例えば、プロジェクトの報告書などは、1ページに収めるように教えられた。