2009年3月号掲載

ざっくばらん

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著者紹介

概要

戦後日本を代表する起業家、技術者である本田宗一郎氏。本書は、その氏が、自動車製造に乗り出す前の昭和35年に自ら著し、長らく“幻の第一作”と言われていた書を復刊したものである。企業経営のあり方、技術やデザインへの熱い思い、政治・経済のこと…。文字通り“ざっくばらん”に語られる氏の考え方や生き方は、今なお我々に多くの気づきを与えてくれる。

要約

僕の哲学

 技術は、哲学の結晶である。

 だから、哲学のない技術は先人の亜流から抜け出ることはできないだろうし、哲学があればそこから独創性も生まれる。

 技術の問題だけでなく、人間の生き方にもこれは言える ―― 。

技術屋

 職人とか技術屋とかいうが、人間に必要だから貴いので、もし何の役にも立たないものだとしたら、何の価値もない。

 そう考えると、やはり人間を本当に理解するのが技術の根本原則で、人間を本当に考えない技術は技術でも何でもない。

 では、職人と技術屋の違いはどこにあるのか。それは、1つのものがあると、過去を大事にして、そればっかりにつかまっている人が職人だ。同じ過去でも、それに新しい理論を積み重ねて、日々前進する人が技術屋だ。

 言い換えれば、1つの現実にこだわらずに、次の理論を社会現実に当てはめて前進することができたら、それが技術屋ということになる。

 人生は見たり、聞いたり、試したりの3つの知恵でまとまっているが、その中で一番大切なのは試したりである。

 見聞きする以上に試すことをやっていると、失敗も多い。しかし、失敗と成功は裏腹だ。失敗の回数に比例して、成功しているともいえる。

 みんな失敗を厭うものだから成功のチャンスも少ない。ホンダが伸びた伸びたって、みんなが不思議がるが、タネを明かせばこれ以外にない。

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