2009年5月号掲載
企業変革の核心 「このままでいい」をどう打ち破るか
Original Title :A SENSE OF URGENCY
- 著者
- 出版社
- 発行日2009年3月16日
- 定価2,420円
- ページ数229ページ
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著者紹介
概要
名著『企業変革力』で、著者ジョン・P・コッターは、組織変革には8段階のプロセスが必要だと説いた。本書ではその第1段階、「危機意識を高める」に焦点を絞り、いかにして組織の危機感を高めるかについて説く。周知の通り、組織変革の最大の難問は危機感の欠如、つまり「このままでいい」という意識である。この組織の自己満足に対処する方法が詳述される。
要約
変革は“危機感”から始まる
あらゆる組織は、重大な欠陥を抱えている。それは「自己満足、現状肯定」という欠陥である。
「このまま、この調子でやっていればいい」というぬるま湯気分は、どんな組織にも存在する。
組織の外から見れば一目瞭然でも、中にいると、聡明な人でもなかなか客観的にはなれない。「改善すべき点があるが、それはウチの部門じゃなくてあっちだ」などと言う。そしてあっちでは、「やるべきことはちゃんとやっている」と言う。
こうしたぬるま湯企業と対照的なのは、社員がせかせか精力的に行動している企業である。
こういう企業のマネジャーは、部下の誰もが会議から会議へ走り回っているので、「部下は危機感を持ってやってくれている」と考えやすい。
だが、ほとんどの場合、それらは不安や怒り、不満などから来る行動であって、冷静な判断や強い決意に裏付けられた行動ではない。
こうした「偽物の危機感」からやみくもに行動するのは、組織にとってデメリットの方が多い。
激情に駆られると、人は理性的な判断ができなくなる。例えば、業績が悪化したのは、上司あるいは他部門のせいだと考えて怒っているとする。そんな時、人は攻撃的になり、組織にとり何の利益にもならない、相手を陥れる行動に走りやすい。
「とにかく何かをやる」ことに無駄なエネルギーが注がれ、建設的な結果を生まないという点で、自己満足よりも始末が悪いと言える。
自己満足体質の組織に風穴を開ける。そのために必要なのは、偽ではなく「本物の危機感」だ。
本物の危機感を抱く人は、組織の存亡を決するような最重要課題にだけ集中する。絶体絶命になってから慌てふためくのではなく、目標を決めて日々着実に取り組む。