2009年11月号掲載
顧客感動マーケティング 急成長企業の8つの実践法
Original Title :INSPIRE!:WHY CUSTOMERS COME BACK
著者紹介
概要
インターネットの発達で、企業が自社のイメージをコントロールするのは難しくなった。消費者の企業、製品への評価はあっという間に広まる。こうした環境下では、信頼できる製品を誠実なやり方で提供し、顧客を「感動」させることが新たな戦略となる。本書では、顧客に感動を与えることで成功している高成長企業8社を選び、そのマーケティング戦略を紹介する。
要約
「理想」で顧客を感動させる
今日、あらゆる顧客が、企業を疑いの目で見るようになっている。広告が派手なほど、金がかかっているほど、それをまともには受け取らない。
情報の宝庫であるインターネットによって、企業やその製品に関する膨大な量の情報を、消費者の誰もが入手できるようになったからだ。
こうした現状は、自社のイメージやメッセージを完全にコントロールできなくなったことを意味する。だが一方で、顧客に評価されれば、自社のイメージを大きく高められるということでもある。
今日の環境で競争するためには、企業はこれまでとは根本的に異なる戦略を見つける必要がある。
誇大宣伝にうんざりしている今日の顧客の心を掴むには、企業は看板に偽りのない製品・サービスを、誠実なやり方で提供することで、顧客の心に印象を刻み、その心を深く動かさねばならない。
「感動させる」。顧客の長期にわたる愛顧を取り戻すためになすべきことが何であれ、カギになるのはこの言葉だ。
そのアプローチはすでに存在しており、才気と想像力に富む人たちが、新しい現実にうまく対処し、成功を掴んでいる。例えば ――
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熱心な環境保護主義者であるゲイリー・ハーシュバーグは、あるパビリオンで、クラフト・フーズ社による“未来の農場”の展示を目にした。
だがそれは、環境保護主義者には悪夢だった。野菜や果物はプラスチックの筒の中で水耕栽培されており、化学肥料などが溶かし込まれた水に根を直接浸していた。土はひとかけらもない。
こうした農法は、持続可能な農業の対極にある。「持続可能なやり方をしない限り地球を守ることはできない」。そう確信していた彼は、ヨーグルトを作る新設企業のパートナーになり、会社を通じ、自分の思いの正しさを実証する。