1998年1月号掲載

真実の瞬間 SASのサービス戦略はなぜ成功したか

Original Title :RIV PYRAMIDERNA

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著者紹介

概要

「真実の瞬間」とは、現場の従業員が顧客と接する最初の15秒のこと。このわずかな時間の接客態度が、企業の成功を左右する ―― 。1980年代、短期間でスカンジナビア航空の再建を果たした著者ヤン・カールソンはこのように指摘する。本書では、彼がこの15秒で顧客に大満足してもらうために行った、すなわち、顧客本位の企業となるために行った、大胆な改革の数々を振り返る。

要約

「真実の瞬間」とは?

 ある日、ストックホルムに滞在していた米国人ビジネスマンが、スカンジナビア航空(SAS)でコペンハーゲンに行くために空港に向かった。

 そして、空港に着いたところで、ホテルに航空券を忘れてきたことに気づいた。航空券がないと飛行機に乗れない。彼は出張をあきらめた。

 だが、SASの航空券係に事情を話すと意外な返事が返ってきた。「ご心配はいりません。搭乗カードをお渡しします。ホテルのお部屋の番号さえお教えいただければ、後はこちらで処理しましょう」。

 そう言うと、係員はホテルに電話をかけた。航空券は部屋の机の上で見つかった。係員はすぐに車をホテルに回し、航空券を届けてもらうよう手配した。てきぱきと事を運んだので、飛行機の出発前に航空券が客の手元に届いた ―― 。

 ほとんどの航空会社の業務マニュアルは、「航空券なしでは搭乗できない」と指示している。

 だがSASの場合、「真の財産は満足してくれた顧客だ」という認識の下、上記の例のような、顧客本位のサービスを行う。

 顧客は、それぞれ1人の人間として扱われることを期待している。その期待に応えない限り、SASは彼らに選ばれることはない。同社はそう考えているのだ。

1回15秒の「真実の瞬間」

 顧客本位のサービスを行う上で、最も重要なのは、顧客に直接接する最前線の従業員が提供するサービスの質である。

 従って1回15秒で、1年間に5000万回、顧客の脳裏にSASの印象が刻みつけられたことになる。

 その5000万回の「真実の瞬間」が、結局、SASの成功を左右する。その瞬間こそが、SASが最良の選択だった、と顧客に納得させなければならない時なのだ。

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