2010年1月号掲載
「嫌消費」世代の研究 経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち
著者紹介
概要
一般に、収入が増えれば、消費支出も増える。ところが最近、収入が十分あっても消費しない傾向が目に付く。これが、書名にいう「嫌消費」で、この傾向は若い世代、1979~83年生まれの「バブル後世代」に顕著である。本書では、この世代の“消費嫌い”の原因を、意識調査や心理分析に基づいて解明するとともに、彼らの消費欲求を刺激するためのポイントを示す。
要約
「嫌消費」の時代
「クルマ買うなんてバカじゃないの?」
3~4年前、こんな声を聞いた時は耳を疑った。だが、やがてAV機器もいらない、海外旅行にも行きたくないという声が大きくなり始めた。
さらに、「インポートブランドよりも、服はインターネット通販で買う」「外食よりは1人でも家で鍋がいい」などのように、消費支出の減少は、次第に衣食住の領域へと広がりを見せ始めている。
こうした現象は、なぜ起こっているのか?
統計的に見れば、年収200万円未満の低収入層も増えている。従って、消費支出の減少は収入低下による節約の面もある。
だが、収入が十分あって、さらに収入が増えても消費を増やさない傾向が顕著になり始めている。
このように、収入があっても何らかの嗜好によって消費しない傾向を、「嫌消費」現象と呼ぶ。
嫌消費の人々
この嫌消費をリードしているのは、20代後半の「バブル後世代」である。
総務省の資料によれば、自動車の購入台数は、1980年には全体で1000世帯あたり平均46台だったが、2007年には40台と6台減少している。
一方、バブル後世代を含む「20~29歳」の平均購入台数は、96台から47台へ半減している。
テレビの平均購入台数に至っては、全体は増加傾向にあるのに、20代では逆に減少している。