2010年1月号掲載

将の器 参謀の器 あなたはどちらの“才覚”を持っているか

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著者紹介

概要

組織をまとめ、組織目標を達成する。その役割を担う「将」と「参謀」、すなわちトップとブレーンの優劣が、いつの時代においても組織の盛衰のカギを握る。では、将たる器とは? 参謀たる器とは? 歴史を題材に、組織と人間の問題を描いてきた作家・童門冬二氏が、武田信玄や加藤清正など歴史上の人物に焦点を当て、将と参謀が備えるべき器量について論じる。

要約

将たる器とは

 現代は、日本人の価値観が根底から変わり、個人も社会も国も、21世紀をどう生きるかという模索の努力を続けている。

 こういう時に特に問われるのが、「トップリーダー(将)とブレーン(参謀)」の能力だ。

 あらゆる仕事は手順として、①情報を集める → ②情報を分析する → ③問題点について考え、解決のための選択肢を用意する → ④それを1つ選ぶ → ⑤実行する → ⑥結果が悪ければ別の選択肢を選ぶ、というプロセスをたどる。

 このうち“将”の役割は、④の決断に重点が置かれる。①から③までは“参謀”の役割だ。

 となると、今は働く人のほとんどが参謀的役割を果たしている。言い換えれば、今の働き手は全て、「自分で考え、選択肢を用意する」という責務を負っているのだ。そして、リーダーの全てが“将”の責務を負っている。

 将にして参謀。そうなるにはどうすべきか。まず将について、歴史の中から探ってみると ――

人育ては、まず人を見ることから

 戦国武将で人育てや人使いの名人と言われたのは、武田信玄だ。

 彼は、「人を育てるにしても、まずその人間がどういう性格で、どういう可能性を持っているかを見極めなければだめだ」として、こんなことを言っている。

 1人は、口を開けたまま話し手をじっと見つめている。これは、話の内容がわかっていない。注意散漫で、こういう人間は一人立ちできない。

 2番目は、眼を合わせず、うつむいて耳だけを立てている。これは話に集中しようとしている証拠だ。武田家で補佐役として活躍している連中の多くが、若い時にこういう話の聞き方をした。

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