2010年2月号掲載
ウーマン・エコノミー 世界の消費は女性が支配する
Original Title :Women Want More
著者紹介
概要
2008年、ボストン コンサルティング グループは世界40地域、1万2000人の女性を調査した。その結果わかったのは、ビジネス、政治領域で女性の力が強まり、世界の消費の64%に女性が関与しているということだ。「ウーマン・エコノミー」ともいうべきものの台頭が判明したのである。本書では豊富なデータを基に、この新しい社会経済秩序の実態を描く。
要約
「ウーマン・エコノミー」とは?
これからの10年、女性の役に立つ企業は莫大な見返りを得ることになるだろう ―― 。
この結論に達するまでに、我々は様々な角度から調査を進めてきた。2008年の調査では、世界40地域の、あらゆる所得水準と職業の女性1万2000人から回答を得た。さらに、10カ国の女性数百人にインタビューを行った。
その結果、次のような点が明らかになった。
- ・世界で10億人の女性が労働力に加わっている。
- ・世界中の消費の少なくとも64%以上が、女性によるものか、女性の影響を受けたものである。
これらの指標は、今後も上昇すると思われる。女性が主導する個人消費支出は、今の20兆ドルから数年後には28兆ドルに、女性の総所得は12兆ドルから18兆ドルまで増大すると見込まれる。
この「ウーマン・エコノミー」ともいうべき新しい社会経済秩序の出現により、企業のこれまでの「常識」は通用しなくなる。
女性のストレスと不満
調査でわかったことは、女性は製品やサービス自体にはさほど関心を持っていないということだ。
確かに買おうとする物には細心の注意を払い、商品の長所、短所を知り尽くしている。しかし、商品やサービス、ブランドは、家族、健康、安全、恋人、仕事など、女性が本当に関心や愛情を向けずにはいられない対象に比べれば二の次だ。
女性が重要だと答えたものは、次の通りである。
「愛情(77%)」「健康(58%)」「正直・誠実であること(51%)」「精神的充足(48%)」
つまり、特定の商品が女性の意識や生活の中で一番の地位を得る可能性は極めて低い。女性が商品との間に築いた関係は、その商品が期待に沿わなければ、即座に見直されてしまう。
また、世界中の女性、特に働く母親は、大きなストレスを感じていることもわかった。