2010年2月号掲載
「年収6割でも週休4日」という生き方
著者紹介
概要
日本で、IT企業の社長を務める著者は言う。「雇用を守ることが経営者の最大の責務」だと。今後、経済規模の縮小が予測される中、その理念を現実にするための方策が、「年収6割、週休4日」という労働モデルだ。すなわち、給料を減らす代わりに、休日を増やす。そうすることで、雇用が維持されるだけでなく、我々は今よりもずっと健康で幸福に暮らせるという。
要約
「6割経済社会」がやってくる
日本経済は今後、大きく縮小する危険性がある。現在、日本のGDPは約500兆円だが、これは300兆円にまで減ってもおかしくない。
その理由は、主に4つある。
1つ目は、エネルギー問題である。
これまで世界経済の基盤となってきたのは、安くて豊富な化石燃料だったが、これらは限りある資源だ。石油とガスの需要量はすでに供給量を上回っており、需要はさらに増えつつある。
原子力や太陽光、風力など代替エネルギーへの転換には数十年はかかるとされ、急激な石油・ガスの需要増加には追いつかない。
2つ目は環境問題、特に地球温暖化の問題だ。
多くの環境専門家は、10年以内に現在燃やしている化石燃料の量を70%減らさなければ、今後1000年間は地球の気温が上がり続けると言う。
そして、化石燃料の消費を70%減らすには、今後10年間に経済活動を半分にする必要がある。
3つ目が、金融問題である。
今回のサブプライム問題によって、大幅なドル安になっていくと思われる。そして、極端なドル安・円高が日本を困窮に陥れる。なぜなら、日本政府、金融機関が保有する数千億ドルの米国債は、ドルの下落によってその価値が激減するからだ。
さらに、日本の製造業は米国が主要市場であり、米国の消費の冷え込み、そしてドルの下落は輸出が壊滅的な打撃を受けることを意味する。