2010年3月号掲載
脱ガラパゴス戦略 台頭する新興国市場の攻略法
著者紹介
概要
日本企業はこれまで国内市場を重視し、日本人向けの商品作りに注力してきた。その結果、海外市場に疎くなり、国際競争力を失った。いわゆる「ガラパゴス化」が生じたわけだが、少子化で国内市場が縮小していく今後、このままでは企業は滅びかねない。そう危惧する2人の著者が、「脱ガラパゴス」のための方策を伝授。成長著しい新興国市場の攻略法を解説する。
要約
新興国市場に立ち遅れる日本企業
ガラパゴス諸島は、南太平洋に浮かぶ孤島群だ。
そこに住むイグアナは、生存を脅かすような外敵もいないので平和に暮らしていた。
海の向こうでは様々な生物種が生存競争を繰り広げていたが、そんな事実を知るはずもなかった。
ところが、観光客の増加などで島の環境が変わり、現在、イグアナは絶滅の危機にある ―― 。
これは、日本企業が置かれた状況と酷似している。いわゆる「ガラパゴス化」と呼ばれる現象だ。
ポイントは、大きく4点ある。
第1に、日本には1億数千万の人口があり、世界第2位のGDPを誇ってきた。そのため、この巨大な国内市場に注力していれば企業は安泰だった。
従って第2に、海外のマーケットに疎くなる。
その結果、第3に国際競争力を失った。いくつかの企業は海外市場に挑んだが、軒並み苦戦を余儀なくされている。
そして第4に、現在、国内市場は少子化によって縮小しつつある。このままでは、一部の企業は本当に“絶滅”してしまう。
だとすれば、残された道は1つ。新たな市場を求め、海外展開を推し進めるしかない。それが「脱ガラパゴス」だ。多くの日本企業は、そういう覚悟を決める時期に直面しているのである。