2010年3月号掲載
経営の教科書 社長が押さえておくべき30の基礎科目
著者紹介
概要
著者は、ジョンソン・エンド・ジョンソンをはじめ、業種の異なる3社で社長を務めた新将命氏。氏は「業種業界に関係なく、企業経営の根幹の80%は、ほとんどどの会社も同じ」だと言う。そして、厳しい経営環境の今こそ“根幹”、すなわち原理原則を再確認することが重要だと指摘。半世紀近い自身のビジネス経験に基づく、30の「経営の原理原則」を披露する。
要約
経営の原理原則
ビジネスのトレンドは、目まぐるしく変わる。マトリックス組織、リエンジニアリング、エンパワーメント…。その時々で様々な経営キーワードが流行るが、わずか1~2年で忘れ去られる。
「不易流行」という言葉があるが、多くの企業は「流行」に踊らされるばかりで、肝心の「不易」、すなわち原理原則を忘れていないだろうか。
厳しい経営環境の今こそ、一度立ち止まり、経営の原理原則は何かを改めて認識すべきである。
以下、重要な原則をいくつか挙げると ――
理念・ビジョンは利益につながる
経営の原理原則として最初に挙げなければならないテーマは、企業の「理念・ビジョン」である。
なぜなら、理念・ビジョンを作成し、社内外に浸透させることは、「儲け」につながるからだ。
かつて日本で、経営理念の有無と経常利益の関係について、20年間にわたって調査が行われた。
その結果、経営理念のない企業の経常利益額は20年間で3.6倍にしかならなかったが、理念のある企業は7.8倍になっていたのである。
なぜか? 人は、大きなことを信じた時に大きな仕事をする、という生き物だからだ。
自社をどんな会社にしたいかという夢やビジョン、誰のためにどう役に立つのかという使命感…。こういう哲学があると、単に利益を求める集団と比べ、社員ははるかに大きな仕事をするのである。
情熱なき経営者はすぐに去れ
先見性、決断力、行動力…。経営者には様々な資質が求められるが、特に重要なのが「情熱」だ。