2022年8月号掲載
ザ・マネジャー 人の力を最大化する組織をつくる
Original Title :IT'S THE MANAGER:Moving From Boss to Coach (2019年刊)
著者紹介
概要
ミレニアル世代(1980~96年生まれ)の登場以降、職場は転換期を迎えている。にもかかわらず、マネジメントは古いまま。そんな中、マネジャーは、いかに部下の能力を高め、組織を成長させるか? ギャラップ社が世界中で行った調査を踏まえ、若い世代が望むこと、部下の熱意を高める方法、効果的な会話術などを詳説する。
要約
今、世界中の人々が望んでいること
今、世界中の職場が、歴史的な転換期にある。どのように働き、どのように人生を送りたいのかという考え方が大きく変化している。にもかかわらず、マネジメントの実践が追いついていない。
この状況を理解しようと、ギャラップのアナリストたちは、30年以上にわたって米国と世界の職場で調査したデータを調べた。そして、明らかになったこと。それは、世界中の人々が望んでいるのは、“よい仕事をする”ということだ。
望むのは、「よい仕事」
人々は、かつては家庭を持ち、家を買い、平和に暮らすことを望んでいた。しかし、今は違う。世界中の人々が望んでいるのは「よい仕事」だ。
最高の人生は、生活に足る収入が得られるすばらしい仕事と、自分の成長を後押ししてくれる上司やリーダーがいなければ実現しない。このことは特に、若い人たちや、増えつつある働く女性にとって重要なこととなっている。
すばらしい仕事をしている人は、他とはまったく違う成果を手にしている。仕事がうまくいくだけではない。チームに意欲を吹き込み、問題を解決し、地域社会でボランティア活動を行い、心身ともに健康的で、ウェルビーイング(キャリア、社交、経済、身体、コミュニティの5つの要素において生き生きしている状態)も高い。
エンゲージメントの問題を解決するカギはマネジャー
問題は、このように仕事にエンゲージ(仕事や組織に熱意を持って関わること)している、あるいは、すばらしい仕事をしている人が、世界の労働者のうち、わずか20%しかいないことだ。
残りの80%は、仕事に熱意を持っていない、つまり、仕事をするふりをしているか、最悪の場合「仕事や上司、会社が嫌いだ」と答えている。
世界中の職場が、大きな問題を抱えているのだ。例えば、日本の労働者のうち、「仕事にエンゲージしている」と答えたのはわずか6%だ。
この従業員のエンゲージメントの問題を解決するカギは、マネジャーにある。
ミレニアル・Z世代が求めるもの
ミレニアル世代(1980~96年生まれ)とZ世代(1997年以降の生まれ)の多くは、やる気に満ちて仕事を始める。しかし、古いやり方のマネジメントによって、彼らのやる気は損なわれる。