2010年8月号掲載
「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま
概要
「婚活」とは、結婚を目標として積極的に活動する「結婚活動」を縮めた言葉。2008年、09年の流行語大賞にノミネートされ、NHKでテレビドラマ化(『コンカツ・リカツ』)されるなど、今や婚活は1つの社会現象となった感がある。この婚活ブームの裏側で今起きていること ―― 格差社会に生きる若者の意識、そして結婚行動の実態を専門家らが分析・検証する。
要約
「婚活」流行の要因
結婚を目標として積極的に活動することを、就職活動に見立てて「結婚活動」と呼び、それを縮めて「婚活」とネーミングしたのが2007年11月のことである(『AERA』07年11月5日号)。
そして、白河桃子さんと共同で、『「婚活」時代』を出版したのが08年3月。その後、婚活という単語は様々なところで使われるようになった。
そうした状況を見ると、婚活は1つの社会現象になった印象を受ける。
では、なぜ婚活が流行したのか? その背景には、次のような要因があると考えられる。
人口学的要因
まず、未婚者の絶対数が増えていることが、流行の最大の要因である。
05年の『国勢調査』によると、未婚率は、30-34歳で男性47.1%、女性32.0%。35-39歳でも男性30.0%、女性18.4%だ。30歳以上の独身者は、ざっと800万人程度と見積もられている。
世代的要因
次に、世代的要因がある。
1970年頃に生まれた若者の多くは、97年の金融危機までは、親と同居しながら独身生活を謳歌し、結婚もいつでもできると思っていた。
しかし金融危機後、状況が一変する。若年男性の収入の伸びは抑えられ、雇用の非正規化が進む。
女性の結婚希望年齢が、自分の年齢が高まるにつれ上昇し、30歳までに結婚するつもりが35歳、それを過ぎれば40歳までという人も増える。
酒井順子氏が『負け犬の遠吠え』(03年)を書いた頃から、結婚せず中年を迎えるという事実に愕然とし、結婚を焦る未婚女性が増えたのだ。