2010年9月号掲載
ビジョナリー・カンパニー③ 衰退の五段階
Original Title :HOW THE MIGHTY FALL:AND WHY SOME COMPANIES NEVER GIVE IN
- 著者
- 出版社
- 発行日2010年7月26日
- 定価2,420円
- ページ数316ページ
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著者紹介
概要
膨大なデータを基に、偉大な企業を分析した『ビジョナリー・カンパニー』『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』。これらで卓越した企業として取り上げられた企業の中には、その後、衰退したところもある。本書では、そうした企業が衰退していった過程を分析。「成功から生まれる傲慢」「規律なき拡大路線」など、企業が衰退する5段階の道筋を明らかにする。
要約
第1段階:成功から生まれる傲慢
『ビジョナリー・カンパニー』と『ビジョナリー・カンパニー②』で取り上げた偉大な企業のうちの何社かが、後にその地位を失っている。
そこで、偉大な企業がどのようにして衰退するのかを明らかにすべく、前著2冊で取り上げた60社から、衰退企業11社を選び出した。
A&P、アドレソグラフ、エームズ・デパートメント・ストアーズ、バンク・オブ・アメリカ、サーキット・シティ、ヒューレット・パッカード(HP)、メルク、モトローラ、ラバーメイド、スコット・ペーパー、ゼニスの11社である。
そして、これらの衰退企業を、戦略、組織、企業文化などの幅広い側面から検討した。
その結果、強大な企業がいかに衰退するかを示す、5つの段階的な枠組みが浮かび上がってきた。
* * *
衰退への第1段階が始まるのは、成功によって企業が傲慢になり、当初に成功をもたらしてきた真の基礎的要因を見失った時である。
例えば、モトローラがそうだ。同社は1990年代半ばになると、わずか10年で売上が50億ドルから270億ドルに増えるという華々しい成果を上げたことから、企業文化が傲慢になっていった。
95年、モトローラは近く発売する携帯電話機、スターTACに強い誇りを持っていた。当時としては世界最小の携帯電話機だったからだ。ただ、問題があった。世の中がデジタル機を求めていたこの時期に、アナログ技術を使っていたのである。
モトローラは、この点にどう対応したのか。
同社の幹部は、デジタル機の脅威を否定して、こう語った。「4300万人のアナログ機のユーザーが間違っていることなどあり得ない」。