2010年12月号掲載
情報亡国の危機 インテリジェンス・リテラシーのすすめ
著者紹介
概要
今日、国際社会において、軍事力、経済力と並んで重要なのが「情報」だ。国家として情報をいかに収集し、活用するかで、国益も左右される。本書は、そうした国策に役立てるための情報および情報活動 ―― 「インテリジェンス」について詳述する。国家的な情報機関を持たず、国家機密や先端技術情報の漏洩も後を絶たない、そんな今の日本に警鐘を鳴らす1冊。
要約
インテリジェンスの常識に欠ける日本
この国が亡びるとしたら、それは情報(インテリジェンス)の不備によってであろう。
長年にわたってこの国は「スパイ天国」の名をほしいままにしてきたので、今や一部の先端技術を除いて、日本にはスパイを使って盗み出すべき重要な秘密はなくなりつつある。
日本が、今後もし亡びるようなことがあるとしたら、それは軍事的侵略や経済崩壊によってではなく、本来の国益の追求が不可能になるように仕向けられることによってであろう。つまり、インテリジェンスの欠如による亡国の姿である。
では、このような事態に対して、我々はどうしたらよいのか。
今必要なのは、インテリジェンスという分野に対する国民の健全な理解 ――「インテリジェンス・リテラシー」をいかに進めるかということだ。
日本人がいかにこの分野でこれまで無知だったかを自覚し、その知識の吸収に努めねばならない。
阪神・淡路大震災の瓦礫の中から迫撃砲
例えば、2007年1月19日付の読売新聞朝刊に、次の記述がある。
「政府関係者によると、阪神大震災の時、ある被災地の瓦礫から、工作員のものと見られる迫撃砲などの武器が発見されたという」
阪神・淡路大震災当時、日本政府はこうした事実を全く伏せて、メディアでも報じられなかった。
日本では、こうした事件や情報自体がタブー視され一方的に伏せられ続け、公の問題にされない。これは、世界の常識では考えられないことだ。
また、07年4月28日付の産経新聞夕刊には、以下のような記事がある。