2011年2月号掲載
消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし
- 著者
- 出版社
- 発行日2010年11月25日
- 定価836円
- ページ数174ページ
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著者紹介
概要
デンマークは「高福祉・高負担」で知られる。医療費や教育費は無料。育児支援や障害者支援も手厚い。その代わり税金は高く、総所得の3割しか手元に残らない。にもかかわらず、国民は高負担とは思わず、幸せに暮らす。それはなぜか。日本から同国に移り住んで40年超の著者が、税金の無駄遣いを防ぐ社会システム等々、「高負担でも幸せ」な国の実態を報告する。
要約
デンマークの高福祉社会
「デンマークとはどんな国か?」
こう問われたら、ほとんどの人は「高福祉・高負担の国」と答えるのではないか。
この高福祉・高負担については、日本人の場合、高福祉の裏にある高負担への警戒心が強い。高い税金を納得して納める、という人は少ないだろう。
だが、デンマークは違う。『国民の幸福度ランキング』(2006年英国レスター大学調べ)によると、同国は幸福度第1位に輝いている。
おそらく日本から見ると、こうした「高負担でも幸せ」という感覚は不思議に映ることだろう。
そのような、国民が納得して高い税金を払う国の福祉制度とは一体、どのようなものなのか。
医療制度
まず、医療費が無料である。その一方で、税金の無駄遣いを防ぐため、「家庭医」と呼ばれる主治医を、国民1人1人に割り当てる制度がある。
住民は病気になった場合、自分の判断で大病院に行けない。まず家庭医に診てもらい、高度な医療が必要と判断された場合、病院で診療を受ける。
この家庭医の存在は理にかなっている。医療費無料という制度下では、体に少し異変を感じただけでも大病院に行く人が多くなる可能性がある。
そうなると病院は常に混雑し、行政は混雑の解消のために新たな病院を建てるなど、患者の需要に応える必要に迫られる。投入される税金は、膨大な額に及ぶことが考えられる。
家庭医はこうした状況、すなわち医療費の膨張を食い止めるため、病院で治療を行うべき病状であるかどうかを最初に判断する役割を担っている。