2011年11月号掲載
MBQ マネジメント・バイ・クエスチョン 部下の“自頭力”を高める
著者紹介
概要
先の見えない不況の中、プレイングマネジャーとして自身の成果目標を課せられ、部下を指導する時間の少ない上司が多い。本書は、こんな現状に即した、効率的なマネジメント手法、「マネジメント・バイ・クエスチョン」を紹介するものだ。「質問」することで、部下が自ら考えて動き、成果が生まれる ―― 問いが持つ力を活かした、短時間でできる管理手法を説く。
要約
MBQでマネジメントの効率を高める
先の見えない不況の中、多くの企業は徹底したコストダウンで何とかやりくりしている。
多くの上司はプレイングマネジャーとして自身の成果目標を課せられ、部下の面倒を見る時間的・精神的な余裕がない。しかも、その相手は「指示待ち族」や「草食系」といった、かつてのサラリーマンの常識が通用しない世代だ。
そんな今の現場の実情に合った、効率的かつ効果的なマネジメントの方法はないものか?
その1つの答えが、「マネジメント・バイ・クエスチョン」(MBQ:質問による管理)である。
質問を使ってマネジメントする
MBQとは、質問を使って組織のマネジメントを促進し、自律的に成果が出せる組織をつくる手法である。「指示命令」ではなく、「質問応答」で組織をマネジメントしようというものだ。
そのやり方は、とてもシンプル。とにかく「これ、なんで?」と訊く。例えば、「この商品の平均単価が20%も上がったけど、これ、なんで?」と尋ねる。その効用は3つある。
1つ目は、意外な情報が聞けることだ。互いに訊き合うことで、見落としがちな情報が集まる。
2つ目に、この質問で質問者の興味・関心・意図を伝えることができる。
そして3つ目の効用は、質問を使って相手に考えさせることができる点にある。皆で「なぜ?」を考え、とことん理詰めで考えることで、物事の本質がつかめ、真の問題解決ができる。
「これ、なんで?」というシンプルな質問を繰り返すことで、組織の思考力もマネジメント力も高まっていくのである。
名経営者の陰に名質問あり
質問を使って、部下を育成している経営者は多い。例えば、キヤノン電子の酒巻久社長は、部下に何かを教える時は相手に質問をする。