2011年12月号掲載

「上から目線」の構造

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著者紹介

概要

最近、すっかり定着した感のある「上から目線」という言葉。上司の指導に対し「上から目線は嫌」と拒絶反応を示す部下、やたら威張って部下に煙たがられる上司など、その事例には事欠かない。なぜ、人の言葉を「上から」と感じるのか。なぜ、「上から」の態度になるのか。本書は、心理学の観点からそのメカニズムを分析、現代人の抱える心の問題を解き明かす。

要約

なぜ「上から目線」が気になるのか

 会話の中で「上から目線」という言葉が目立つのが気になり始めたのは、いつの頃からだったか。今では、この言葉が絶えず耳に飛び込んでくる。

 例えば、電車の中で聞こえてきた2人組の会話。資格試験の会場に向かう途中のようだった。

 「オレ、また今回も受かる気がしないよ」

 「気合が足りないんだよ、気合が。本気でやっていかないと、お前、ほんとに将来が危ないぞ」

 「何だよ、その上から目線」

 対等なはずなのに、年長者のような目線でものを言うことが気に入らないというわけだ。

 それはわかる。だが近頃気になるのは、上位の人の言葉に対しても、「上から目線で言われてイラっときた」というセリフをよく耳にすることだ。

上司の指導にも「上からですね」

 うっかりアドバイスすると「上から目線」と反発されるから、言いたいことも言えない。そんなふうに嘆く上司や先輩が少なくない。

 「何か気になることがあるのか? あるなら、どんなことでも言ってくれ」

 「その上から目線がイヤなんです」

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