2012年12月号掲載

かつての超大国アメリカ どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか

Original Title :That Used to Be Us

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著者紹介

概要

世界的なベストセラー、『フラット化する世界』の著者T・フリードマンと、国際関係論の泰斗M・マンデルバウムが、衰退する米国の現状と行く末を考察した書。巨額の財政赤字、仕事の消滅、政治家の劣化等、米国が抱える諸問題を直視し、復活のための処方箋を提示する。ここで描かれた問題と対策は、今の日本にも当てはまり、日本の将来を考える上でも有用だ。

要約

突きつけられた「4つの難題」

 アメリカは今、緩やかに衰退している。なぜか。

 冷戦終結後、アメリカの政治指導者は、重要な2つの問いを自問することをやめてしまった。

 「私たちが暮らしている世界はどのようなものであるのか?」「その世界で繁栄するには、具体的に何をやる必要があるのか?」という問いだ。

 今では火を見るよりも明らかだが、1989年、ベルリンの壁が崩れた時点では、アメリカが危険な過ちを犯すことになるとは、誰も思わなかった。私たちは自分たちの置かれた環境を見誤っていた。

 オスカー・ワイルドの警句を思い出すべきだった。「この世には、悲劇はたった2つしかない。1つは望みのものが手に入らないことであり、もう1つはそれが手に入ることだ」。

 アメリカはその第2の悲劇を味わおうとしていた。私たちは長年追い求めてきた目標、「冷戦の終結」をものにした。だが、その結果、前例のない難問がアメリカに突きつけられることとなった。

 共産主義打倒に手を貸したことで、新たに20億人が私たちのように暮らす道筋を開いた。

 共産主義の終焉は、経済競争の障壁をほとんど取り払うグローバリゼーションのプロセスを劇的に加速させた。それにより、多数の「新アメリカ人」―― 資本主義を実践する20億人が資本や雇用を巡り、アメリカ人と競争できるようになった。

 実のところ、冷戦終結後に訪れた新時代は、アメリカに4つの大きな難題を突きつけた。

①グローバリゼーションにどう適応するか?

 グローバリゼーションの精髄は、人、商品、サービス、資本が国境を越え自由に動くことにある。

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