2013年2月号掲載
Repeatability 再現可能な不朽のビジネスモデル
Original Title :Repeatability
著者紹介
概要
企業が“持続的成長”を遂げるためのカギとは? 著者たちが、世界12カ国、約2000社を対象に行った調査、25年に及ぶ研究によれば、それは新しいものへの挑戦にあらず。自社の成功パターンの中から再現可能なものを抽出し、徹底的に単純化することにある。この「再現可能な不朽のビジネスモデル」の全容について、イケアなど多数の事例を挙げ解説する。
要約
再現可能な不朽のビジネスモデル
企業を取り巻く環境の変化が激しい昨今、専門家やアナリストはこぞって企業に「自己変革」を提唱している。
だが我々の調査によれば、単純に、自らの強みを発揮できる分野に焦点を絞り、そこでたゆみない改善を続ける方が、往々にして抜本的な改革や再構築といった戦略に勝る結果となる。
そして、長期的な成功は、魅力的な市場の選択ではなく、持続的な改善と適応の効果を生かして、学んだことや競争上の優位性をビジネスの基盤にしっかりと組み込むことにかかっている。
すなわち、「どこで戦うか」を見極めるよりも、「どう戦うか」の方が重要だ、ということである。
本書の目的は、過酷な競争分野で成功を繰り返すために、絶えず変化を続けてきた企業の本質的な特性を明らかにすることである。
それは我々が「再現可能な不朽のビジネスモデル」と呼ぶもので、例えば次のような事例がある。
125年続く弁当配達
ムンバイ。このインド最大の都市において、ヌタン・ムンバイ・ティファンボックス・サプライヤーズ・チャリティートラスト社の5000人のスタッフは、日々弁当配達にいそしんでいる。
彼らの手を通じて、20万個の弁当が依頼主に配達される。それぞれの弁当箱は平均60kmもの移動距離を自転車や列車、徒歩などで運ばれる。この配達システムは非常にうまく機能しており、配達間違いは600万個に1つあるかないかだ。
同社は1890年代の創設当初からほとんど何も変わっていない。弁当箱や制服はほぼ同じ。自転車や列車、手押し車での配達方法もそのままだ。
しかし、時代の進歩を見逃さず、常に革新的な手法を採用してきた。例えば、今日では連絡用に誰もが携帯電話を持っている。
このように新旧の良さをうまく取り入れることで、創業から約125年、収益性を維持しつつ、年率5~10%で成長を続けている。