2013年2月号掲載
折れやすい部下の叱り方 「聴く力」を伸ばすカウンセリング・スキル
著者紹介
概要
ちょっと注意しただけなのに、ひどくショックを受け、泣き出したり、会社を休んだり…。近年増えている「心の折れやすい部下」の指導法を、職場のメンタルヘルス対策の第一人者が伝授する。部下の話を聴き、質問を重ねることで、部下自ら問題に気づき、自ら変化するよう導く。この、カウンセリングの技法に基づいた、「叱らないで伸ばす」方法が披露される。
要約
今どきの部下は心が折れやすい
今、20代、30代を中心に、心の折れやすい部下が増えている。ちょっと叱っただけなのに、立ち直れないほどのショックを受けてしまう。叱られて逆ギレする、会社を辞めてしまう…。
「今どきの部下はどう叱っていいかわからない」。そう感じるマネジャーは少なくないだろう。
私は、20代、30代の「折れやすい部下」といわれる人たちが、上司の皆さんと、心理構造やストレス耐性が異なる特別な人たちだとは思わない。しかし、あえて、上司の皆さんと折れやすいといわれる若手社員との違いを探るなら、それは何か。
折れやすい部下たちは、それまでの世代より「自尊心を満たされたいという欲求が強い」というのが私の見方だ。自己愛が強いのである。
彼らは、自己イメージが高く、自分は他人とは違うユニークな個性の持ち主だと考えている。だが現実には、ミスもすれば上司にも叱られる。
自己イメージが高ければ高いほど現実の自分とのギャップは大きくなり、自己肯定感が低くなる。
自己イメージは高いが、自分に自信がない。だから、他人からのちょっとした一言に過敏に反応し、自分が傷つかないように、他人(上司)を責める。そして「ここにいること自体が間違っているのだ」と会社を辞めてしまう。
これが、折れやすい部下の心の仕組みである。これを理解すれば、その処方箋は見えてくる。
カギは部下の自尊心を満たすこと
折れやすい部下をうまく叱り、うまく伸ばすカギは、自尊心への働きかけにある。
彼らを育てるために必要なのは、叱って言い聞かせることではない。必要なのは、彼らの話に耳を傾け、理解し、共感を示すことだ。
つまり、上司のカウンセリング・マインドと、カウンセリング・スキルが求められているのだ。