2013年11月号掲載

イノベーションは新興国に学べ! カネをかけず、シンプルであるほど増大する破壊力

Original Title :JUGAAD INNOVATION

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著者紹介

概要

新興諸国では、常識にとらわれない発想から、様々な新製品・サービスが生まれている。そうした新興国のイノベーションの背景にある「ジュガード」と呼ばれる考え方を紹介。「逆境を利用する」「シンプルにする」「末端層を取り込む」…。資源が少ないからこそ生まれるこれらの知恵は、不確実性が高い今日、イノベーションを起こし成長する上で不可欠なものだ!

要約

成功と成長のための戦略「ジュガード」

 私たちは、インド西部グジャラート州の砂漠地帯にある、ラーマクリシュナという村を訪問した。

 ここに来たのは、インド経営研究所のアニル・グプタ教授に会うためだ。教授はインド中の草の根発明家を見つけ出して、交流の場を与えている。

 グプタ教授に紹介されて、私たちはムンサク・プラジャパティと会った。陶工職人である彼は、粘土を使った耐久性の高い製品を試作している。

 彼は私たちにコップを渡し、誇らしげに言った。

 「冷たい水をどうぞ。この冷蔵庫に入っていますから」

 私たちは困惑して、目の前の箱を見つめた。扉はガラス製だが、全体は粘土でできていた。電気コードも、バッテリーもない。単なる粘土の塊だ。

 私たちの反応を楽しむように、彼は説明してくれた。この粘土製の冷蔵庫は、上部に入れた水を側面に染みこませ、蒸発による気化熱を利用して下の食品庫を冷やす仕組みだという。

 電気を全く使わず、100%自然に還元され、廃棄物もゼロだ。

 米ドルにして約50ドルのこの冷蔵庫は、生産が追いつかないほどのヒット商品となった。そこで彼は、村の女性たちに製造方法を教え、彼女たちを従業員として雇用した。

 次の粘土製品も考案された。こげつかず保温性に優れている上、わずか2ドルのフライパンだ。

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