2014年7月号掲載
これからの経営は「南」から学べ 新興国の爆発的成長が生んだ新常識
Original Title :GLOBAL TILT:Leading Your Business Through the Great Economic Power Shift
著者紹介
概要
近年、北側の先進国から、中国、インド、ブラジルなど「南」の国々へと、経済の中心がシフトしつつある。南の企業には強烈な起業家的野心があり、多くは二桁成長を遂げている。ビジネスの規模、時間、成功の定義も、先進国のそれとは違う。従来の経営知識が通用しない彼らにどう対応すべきか、世界的経営コンサルタントが、北側の企業に必要な戦略を披露する。
要約
傾いた世界へ、ようこそ
世界は傾いている ―― 。
「進んだ」とか「西の」などと呼ばれてきた北側の国々から、中国、インド、インドネシア、ブラジル、中東、さらにはアフリカをも含む急成長中の国々へと、経済の中心がシフトしている。
技術や経営ノウハウや資本は、西から東へ、つまりは米国と西欧から日本、韓国、そして勢いあるアジアの国々へと伝わっていくというのが、これまで数十年間の標準的な見方だった。
しかし今日、その流れが主に北から南へと動いている。富、そして雇用も北から南へ動いている。
北側諸国に求められる行動
北側のビジネスリーダーの多くは、こうしたトレンドの重要性が見えていない。
あなたが北側の企業のリーダーだとすれば、ビジネスのアプローチを大きく傾けるにあたり、与えられた猶予期間は極めて短いと思ってほしい。
従来のアプローチに頼って競争分析をして、戦略を立て、実行に移すわけにはいかない。まずは状況をグローバルな切り口で把握することだ。
北側の国々が成長の鈍化や停滞に苦しむ一方で、南側の国々は、世界経済が冷え込んでいる今でさえ躍進している。10年、20年と、長いタイムスパンで将来を予測してみれば、南側の急激な成長曲線と機会の大きさが視野に入ってくる。
南の新しいパワー
北側でキャリアを築いてきたリーダーにとり、傾きが生み出す可能性の広さは想像しにくいかもしれない。だが、南半球のライバルたちにためらいはない。何しろ、一世一代の機会が突然、彼らの庭に降ってきて、彼らの情熱に火を付けたのだ。
19世紀の米国を考えてほしい。若き産業国は活気あふれる成長ぶりで、J・P・モルガンやジョン・D・ロックフェラーといった時代を象徴する巨人を輩出した。彼らが築き上げた帝国が、数十年間にわたって世界の経済を支配した。
そして今日、重力の中心は南にある。帝国を築く人間は、インド、中国、ブラジル、南アフリカといった国々で生まれ育っている。