2013年12月号掲載
アンバサダー・マーケティング 熱きファンを戦力に変える新戦略
Original Title :Brand Advocates
著者紹介
概要
「アンバサダー」とは、ある企業を熱烈に支持し、見返りを求めることなく、ソーシャル・メディアなどで商品の魅力を訴えてくれる顧客のこと。アマゾンをはじめ、彼らの力を借りて有力ブランドに成長した企業は少なくない。本書では、この熱き人々を戦力に変えるマーケティング手法を紹介。アンバサダーをいかにして探し出し、どう関係を築けばよいか解説する。
要約
「アンバサダー」とは
あなたには強力なマーケティングの武器がある。この武器は、バナー広告や検索エンジンなどよりはるかに影響力が大きい。他のどんなマーケティング・ツールと比べても、10倍は効果がある。
この武器とは、あなたの会社を熱烈に応援する顧客、すなわち「アンバサダー」だ。
あなたの商品の魅力をアピールし、見込み客を紹介し、ブランドの良さを語り、“批判者”から守ってくれる存在。彼らは、見返りを求めずに、あなたの商品の魅力を広めてくれる。
アンバサダーってなんだ?
例えば、カリフォルニア州在住のサポート・エンジニア、ジャスティン・ドーフマン。彼はここ5年で、コンピュータ関連商品をネット販売するCDW社から数千ドルもの商品を購入した。
彼は単なる“お得意様”ではない。CDWにとって、とびきり優秀なマーケターの1人でもある。なぜなら、彼が同僚や仲間にCDWの魅力を伝えたところ、数十万ドル分もの売上が発生したのだ。
ドーフマンは、ツイッターでCDWをおススメする他、CDWのコンテンツや特別セールの情報をリツイートし、ブログやITの専門家が集まるネットコミュニティなどでCDWを高く評価する。
ドーフマンはCDWのアンバサダーだ。現金やクーポン、報酬といった見返りがなくても、知人や同僚にCDWの魅力を広めようと骨を折る。
ドーフマンのようなアンバサダーは、あなたの会社の最強のマーケター、営業担当であり、その上、誰よりも意欲的で情熱的で価値のある顧客でもある。今日の世界で力を握っているのは広告のプロではなく、彼のようなアンバサダーだ。
靴のネット販売会社ザッポス、アマゾン・ドット・コム、レッドブル、ボディショップ、グーグルは、いずれも広告に頼らずに有力ブランドに成長した。こうした企業においては、アンバサダーこそがマーケティング戦力だった。
消費者は広告よりアンバサダーを信頼する
アンバサダーが力を持っている理由は、たった一言で説明できる。「信頼」だ。
世界中のネットユーザー10人中9人が、様々な広告形態のうち最も信頼できるのは、友人や家族からのおススメだと答えている。ネット広告を信頼するのは、10人中2人に過ぎない。